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アホ大学のバカ大学生というけれど…!? [教育]

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)

  • 作者: 石渡 嶺司
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書


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大学全入時代をほぼ迎えたいま、私大では定員割れが続出し、潰れる大学も出てきている。こうした、世間からそっぽを向かれた「崖っぷち大学」は生き残りに必死だが、それは、東大や早慶上智、関関同立といった難関大といえども他人事ではない。どの大学も受験生集めのために手を尽くしている。ところが、その内容は――AO入試で辞退さえしなければ誰でも合格、就職率や大学基本情報の非公表・偽装、イメージをよくするために大学名を改名(秋田経済法科大からノースアジア大へ)、新しいことを学べる新学部を新設(シティライフ学部や21世紀アジア学部)など、世間の常識と大いにズレていて、どこかアホっぽいのだ。本書では、こうした大学業界の最新「裏」事情と各大学の生き残り戦略を、具体例を交えながら紹介していく。


 はじめに

 偏差値の高低や知名度に関係なく、日本の大学生はおしなべてバカと言っていい。
 昔から大学生はバカだったとも言えるが、昔と今で違うのはネット頼りで努力をしないことにある。これにイライラする社会人、特に大学教職員は少なくない。
 教授が学生に調べものを頼んだら、つぎの日に平気な顔をして「調べたけどネットにありませんでした」と言い返してきたとか、授業中やけに静かだと思ったら、みんな携帯電話でメールをしているだけだったとかいった話は、本当に掃いて捨てるほどある。
 一生を左右する就職活動で志望企業を調べるのもネットまかせだし、就職課への就職相談もぜんぶメールで済まそうとする。
 ネット教信者とも言えるが、要するにバカである。
 では、こういったバカ学生を擁する大学側はどうかといえば、全体的にちょっとアホっぽい。世間の常識と大いにズレていて、マヌケなところが多いのだ。
 たとえばここ数年、不景気や少子化の影響でどこの大学も経営が厳しく、学生集めに躍起になっているが、その対策のなかにはアホっぽいところが多分にある。
 いちばん苦笑してしまうのが、珍名・奇名大学だ。
 学生からのイメージをよくするための一つの方策なのだろうが、岡山にあるのになぜか「環太平洋大学」と名乗り(2007年設立)、秋田にあるのに「ノースアジア大学」と改名する(もともとの大学名は「秋田経済法科大学」)。
 これはけっしてウケを狙ったわけではなく、理事会などで真剣に検討を重ねた結果の命名・改名である。
 しかし、大学には、こういった大学外の人間からすればアホくさい話はごまんとある(なお、珍名・奇名大学はあまりにアホっぽいので「週刊SPA!」で二度も特集になった)。
 同じ社会人であっても、一般サラリーマンや自営業者とは明らかに異なった世界に大学教職員は生きているのである。
(以下略)
―――――

 ひと昔前と違って、大学は激動の時代に突入している。その原因は、受験生の減少と大学の乱立のようです。
 受験生人口は1990年代をピークに減少に転じたにもかかわらず、毎年、大学は増え続けている。2007年には756校。1990年の507校から249校も増加している。受験生が減っているのに大学は増え続けるという、まさに異常とも言える状況のようです。

 大学進学率が30パーセント台だった1980年代までは、バカ学生と言われながらも、学生は「大学で何かをやりたい」から進学していた。何かとは勉強、旅行、サークルなどさまざまだが、要は、バカっぽいところがあっても何かしらの目的があったようです。
 しかし、今の学生はまわわりが進学するから自分も「なんとなく」進学するという学生が多すぎる。以前に比べて大学に入学するためのハードルがぐっと下がったことで、大学進学への目的意識もぐっと下がっているのである。

 これが、現代バカ学生の実像だとのことです。

 著者によると、本書はつぎの三点を明らかにすることにしたそうです。

①最新のバカ学生像とその発生理由
②大学業界のアホっぽいところとその裏事情
③バカ学生が変わる“化学反応”の瞬間

 そして、本書の対象読者は以下の五者なのです。

受験生……志望大学を決めるためのガイドブック
大学生……上の世代が自分たちをどう見ているかまとめた解説書。就職活動の指南書
社会人……今の大学・大学生を知るための知的読み物
保護者・高校教員……我が子(生徒)をバカ学生にしないためのマニュアルブック
大学教職員……大学外部が大学をどう見ているかが分かる本。受験生集めの裏技本

 異なる五者を読者対象とするため、本書は読みやすさと個別具体例を重視し、その反面、大学教職員以外の人間にとってどうでもいい専門用語はばっさり切り捨てるか、簡略な表記にしたとのことです。

 本書によって、大学のアホっぽさと大学生のバカさ加減に対して、一般社会人の読者諸氏がくすりと笑ってくれ、大学生・大学教職員の読者諸氏が我が身をふり返るきっかけになれば、著者にとってはこれに勝る喜びはない。とのことです。

 誤解を避けるため明記しておきますが、この本は、いま現在の大学教育がおかれている状況を在りの儘書いているのです。けっして大学教育を否定したり貶める意図で書かれた本ではありません。「バカ学生の“化学反応”」という項目にもあるように、学習習慣も絶対的な学習量も足りないまま大学に入学した学生が、大学在学中に急成長をとげること。この学生の急成長を“化学反応”と呼ぶ。ということにも触れられています。

―― たしかに、バカ学生がバカ社会人になるだけなら前途は暗い。しかし、そうした「期待」を裏切り、みごとバカ学生から脱皮していくから、日本の大学は面白い。――
 という記述が本文中にあるのです。

 アホ大学のバカ学生でも大学在学中に急成長する可能性があるそうです。意欲と資金さえあれば、大学進学は無駄ではないとのことです。
 我が家の息子たちは、高卒で働いています。資金の余裕さえあれば、大学に行かせてやりたかったという、妻の言い分はもっともな話だと… 今更気付いても手遅れです。
 高校生以下のお子さんをお持ちの方は、一度目を通されたら、後悔しないかも知れません。

(by 小父蔵)


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 ▲「右へ倣え」という考え方が、間違っていると必ずしも言えない場合が…


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コメント 10

shira

 これ、書店で見ました。
 まあ、昔の大学生も大したことはなかった。私的には、大学生は昔っからバカだったのだと思います。まあでも、だからと言って、今の大学生を免罪して放っておくわけにもいかなくて。
 最大のポイントは、「あいつらはバカだからどうしようもない」と切捨てるか、「あいつらはバカみたいだから何とかしてやらんと」と具体的なアクションを起こすかと、その差でしょうね。
by shira (2010-04-10 00:27) 

小父蔵

shiraさん  コメント 有り難うございます
 学費さえ工面できるのであれば、大学までは行かせたほうが良いと思いました。人間なんて、自分で思っているほど賢くないのはお互い様ですから、若者だけを責めるのは酷ですね。
 それよりも、子供をカモにする教育制度に問題があるような…
by 小父蔵 (2010-04-10 01:00) 

enosan

チューリップ、反対から見ると 右へ倣え、何にでも裏がある世の中。
by enosan (2010-04-10 09:14) 

nyankome

最近よく分からない名前の学校と学部が増えました。
シンプルな方が分かりやすくていいと思うのですが。
少ない頃は目新しさもあったのでしょうけど、こう増えるとねぇ・・・。
by nyankome (2010-04-10 11:49) 

小父蔵

enosanさん  コメント 有り難うございます
 そうですね、まったく裏表のない人間はいませんね。
 しかし、『巧言令色、鮮し仁』といいます。旨い話ほど、やっぱり危険だというのは間違いないようです。
by 小父蔵 (2010-04-11 01:51) 

小父蔵

nyankomeさん  コメント 有り難うございます
 学部や学科の名前を聞いても、一体なにを教えているのやら… と、なっては、受験生が増えるとは思えないのですが…
by 小父蔵 (2010-04-11 01:55) 

nisimiyu

こういうアカデミックハラスメントの例もありますよ
ご参考までに・・・。

私は、有用な知識のかなりの部分を、大学進学前、図書館で借りた本で得たように思います。やる気さえあれば、勉強は自分でできるものと思います。(詐欺的な理論に多額の税金を使う教授達もいます。研究職志望でしたが縁故でもないとなれないようで、私は長年論文を無視されました。高卒後29歳まで平均年収は10万円、学費を払うと赤字なのに国民年金も払って500万円の借金だけ残りました。今思うと放送大学で良かったのかも)

ちなみに父は8人兄弟姉妹で、「兄たちは小学校では成績良かったが
貧しくて小卒で就職し、自分だけ大学に行った」と言っていました。
でも兄たちのほうがお金持ちかもしれない、とも?
いずれにせよ、しっかりした科学的知識を持った人が好きです。
正しい科学的事実を主張するものが報われる世の中になりますように!
by nisimiyu (2010-04-16 00:46) 

小父蔵

nisimiyuさん  コメント 有り難うございます
 正直者が馬鹿をみる、そんな世の中ではいけないと思います。しかし、総理大臣を筆頭に、脱税・脱法行為をしている現状では… あまり多くは期待出来そうにありません。
by 小父蔵 (2010-04-16 05:41) 

大将

最近思うことはほんの少し昔でも
常識と言われたことが今では常識ではなくなっている
と言うか学問以前に常識を知らない人間が
それこそ老若男女に関係無く増えていますねぇ(-_-;)
by 大将 (2010-04-21 18:10) 

小父蔵

大将さん  コメント 有り難うございます
 学問があるから偉いと思ったら、それは間違いの場合が多いですね^^;
by 小父蔵 (2010-04-21 21:01) 

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