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普遍の法則なんてものは…!? [科学]

科学とオカルト (講談社学術文庫)

科学とオカルト (講談社学術文庫)

  • 作者: 池田 清彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/11
  • メディア: 文庫


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 不変・普遍の法則のウソ

 私は科学をバカにしてこのことを言っているのではない。科学はもともと、自然の中から何らかの同一性を引き出す術だったのである。同一性は引き出す方(人間)と引き出される方(自然)の関係の中にあり、一方的に引き出される方にあるわけではない。人間の認識の限界(理論的にも技術的にも)において引き出された同一性は、自然の中にある究極の同一性のように見えてしまうということはあるにしても。ちょうど、クォークや超ひものように。しかし、それはそれらの同一性が自然の中に自存する不変の実体であることを証明しているわけではない。そうではなく、そう考えるとこの世界の現象をその限りではうまく説明できる、ということを示しているにすぎない。
 この同一性からこぼれてしまうことに関しては科学は無力であり、それでよいのである。このことは、法則にもあてはまる。この世界に不変で普遍の法則がある、なんてこともウソではないかと私は思う。自然はもともと時間を含んで常ならざるものである。それを時間を含まない不変で普遍の法則ですべて説明できるわけがない。
 我々は自然の中から、くり返し起こることを見出して、それを法則という形式で記述したのだ。くり返さなかったり、たった一度しか起きないことに関しては科学は無力なのである。くり返すと思っていたことが、いつくり返さなくなってしまうかもわからない。だから、不変で普遍の法則があること自体が証明されているわけではないのだ。そういうものを想定すれば、その限りにおいて、現象をうまく説明できるというだけの話である。
 科学を悪く言う人の中には、科学はすべてを説明できないので、それにかわるべきもっと高次の原理を考えるべきだ、と言う人もいるが、基本的にそれはお門違いだと私は思う。こういう人はゴリゴリの決定論者と同じ間違いを犯しているのである。科学はもともと、科学という方法によって説明できることしか説明できないし、世界には科学では説明できないことの方がむしろ多いのである。たかだか人の脳が理解できる範囲のやり方(科学もまたそういうものの一つである)でもって、自然を全部説明しようというのは、そもそも無理なのである。人の脳は自然の一部である。一部で全体を説明するやり方に無理が生ずるのは、考えてみれば当たり前ではないか。
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帽子.JPG

 人間は、自然の一部でしかありません。

 その人間が、自然をすべて把握し、管理するなんて端から無理です。

 そんなことが出来ると信じているとすれば、

 それは科学ではなくて、科学万能教という宗教なのです。


 科学では、自然に起きている現象の中で、くり返して観測されるものに何らかの因果律と思われるものを見出し、その因果律らしきものを法則と称します。

 しかし、人間は宇宙の全てを知っているのではありません。可視光線とか音の可聴域という言葉があります。光には、人間に見える光と見えない光が存在するのです。音も、聞こえる音と聞こえない音があるのです。たったこれだけの話をしても、人間が宇宙の全てを把握して理解するなんて無理だというのは明白ではないかと思います。
 さらに、人類が観測できるのは、宇宙全体のわずか数パーセントに過ぎないという話もあります。これは、宇宙の大半は人類には観測不能だということを意味します。

 人類に観測できるのは、宇宙のほんの一部なのです。だから、科学はわかったつもりの錯覚にすぎない、という程度のものだと考えておけば良いのだと私は思います。

(by 心如)

・・・

【おまけ】

◎逮捕
 スターリン時代のKGBメンバー二人の会話。
「なあ、正直なところ、我が国の上層部についてどう思う?」
「まあ、思うところは君と一緒ってところかな…」
「そうか同志よ。悪いが君を逮捕する」

・・・
 


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コメント 2

大将

深い物欲に縛られている人間には
宗教ですら意味は無い
それが例え科学万能教であってもです
by 大将 (2011-12-06 20:02) 

心如

大将さん、コメントを頂き有り難うございます
 どんなに欲張っても、人間の死亡率は100%です。いずれはみんな死ぬのです。生きていくのに充分なモノさえあれば、あまり多くを望まないほうが気が楽だと思うのですが…
by 心如 (2011-12-06 21:50) 

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