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京都議定書の延長は馬鹿げている…!? [雑感]

 過去記事〔そこは自分で考えてくれ(其の壱)そこは自分で考えてくれ(其の弐)そこは自分で考えてくれ(其の参)〕より転載。

そこは自分で考えてくれ

そこは自分で考えてくれ

  • 作者: 池田 清彦
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2009/03/12
  • メディア: 単行本


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 京都議定書のカラクリ

 2007年の暮れにインドネシアのバリ島でCOP13(国連気候変動条約の第十三回締約国会議)が開かれ、ポスト京都議定書に向けての動きが始まった。クーラーのよく効いた会議場で、外にはエアコンをつけっぱなしの車を待たせておいて、地球温暖化対策の会議をやるという神経が私には解せない。会議に参加した多数のNGOの中からもさすがに批判的な声が上がったようだ。各国政府の要人たちは地球温暖化で困るなどとは本当は露ほども考えていないからだと思う。
 ジェームズ・ハンセンが1988年6月23日の暑い日に、アメリカ議会上院のエネルギー委員会の公聴会で、委員会室のクーラーを切って、「最近の異常気象、とりわけ暑い気象が地球の温暖化と関係していることは99パーセントの確率で正しい」と証言していらい、地球温暖化と、その主たる原因とされる大気中の二酸化炭素濃度の人為的な増大は、近未来の最大の地球危機として、あっという間に世界のマスコミの話題となってしまった。
 それ以来、地球温暖化は、あらゆる未来の恐怖の源泉となった。何とかしなければ、今のままでは、低地は海中に没してしまう。すさまじい台風がやってきて大被害が出る。マラリアやデング熱が蔓延する。食糧生産量が低下して人々は飢えの恐怖に直面する。
 ハンセンの証言以来約二十年が過ぎ、日本では毎年三万人が自殺し、一万人が交通事故で亡くなり、地震で大被害が出たが、海中に没した田畑もなければ、台風で壊滅した都市もなければ、マラリアやデング熱が流行した様子も、食糧が不足して多くの人が飢えに直面したという話もない。危機を煽る人々は今世紀末までには必ず恐ろしいことが起こると予言するが、ノストラダムスの大予言と同程度の信憑性しかないのではなかろうか、と疑り深い私は思っている。
 予測の元となるのはコンピュータ上のシミュレーションである。巨大なコンピュータを動かしてデータを沢山放り込めば、素人を驚かすには充分な予測は確かに可能だろう。しかし、どんなに金を注ぎ込んでも、未来の気象予測などというものは原理的に不可能なのだ。それは気象現象は決定論的な系ではない所からくる。たとえば、惑星の運行はほぼ決定論的な系である。だから、百年後の太陽と地球と月の位置関係はほぼ確実に予測できる。ひるがえって気象についてみれば、一週間後の天気さえ当たらないことは誰でも知っている。気象は典型的な複雑系であり、非決定論的な系だからだ。
 百年後の地球の平均温度の予測などというものは、たとえて言えば、十年後の日経平均株価の予測と同じようなもので、不確実なことこの上ないと私は思う。確かに、人為的な二酸化炭素濃度の増大などのようなある程度予測可能な要因だけが変数で、それ以外の要因が安定であるならば、予測は当たらずといえども遠からずになるだろう。しかし気象の変動に関しては、人間がコントロールも予測も不可能な要因が多い。たとえば、太陽の活動を予測することは難しい。もし、三十年後に太陽の活動が急激に低下するようなことがあれば、現在のコンピュータシミュレーションの予測は即、ゴミ箱行きになってしまう。

 それでは、何でこんな不確かな予測に基づいて、京都議定書のような重要な政治的決定がなされるのだろうか。多くの善良な市民は、①正しい科学的な予測がまずあって、②その結果未来には恐ろしいことが起こると考えられるので、③それを防ぐために政治的な決定をしなければならない、と信じているに違いない。しかし、びっくりさせるつもりはないけれど、事実は全く逆なのだと私は思う。①ある特定の人々が(多くはお金を儲けたいために、あるいは政治的な主導権を握りたいために)、ある政治的な決定をしたいと考える。②そのための最も効果的な方法は人々の恐怖を煽ることだ。③恐怖を煽るためには科学による根拠づけが必要だ。そういう風に考えると、物事はずいぶんクリアーに見えてくる。
 ダイオキシン騒動はその典型例だ。1990年頃から、ダイオキシンは猛毒だという話が流行り出して、人々の恐怖を煽りはじめた。極めつけは1999年の2月、テレビ朝日の「ニュースステーション」が所沢産のホウレンソウから高濃度のダイオキシンが検出されたと報じた例で、所沢の農家はパニックに陥り、国民はダイオキシン恐怖症にかかってしまった。この恐怖を背景に国会はいわゆるダイオキシン法を成立させ、通常の焼却炉でのゴミの焼却は禁止され、自治体は超ハイテクの高級焼却炉を設置せざるを得なくなった。
 これで一番儲かったのは高級焼却炉を製造するメーカーであり、ダイオキシンの分析メーカーである。一番割を食ったのが、一般家庭向きの小型焼却炉を製造する中小企業で、かわいそうに潰れてしまった会社も多いと聞く。そして、誰も意識してないと思うが、金額的に一番損をしたのは、一般国民である。なぜならば、高級焼却炉を造る莫大な金は国民の税金だからだ。もちろん、そうしなければ国民の健康が守れないのであれば、それも仕方がない。しかし、一般の焼却炉から出るダイオキシンはごく微量で、国民の健康を損なう恐れは全くなかったのである。ダイオキシン法が成立して以来、ダイオキシンの恐怖を煽る本の出版はパッタリと止まってしまった。残ったのは亡国のダイオキシン法だけである。今後もムダな高級焼却炉を維持するために税金がたれ流されていく。ダイオキシン騒動は特定の人々の金儲けのための陰謀だったと総括しても的はずれではなかろう。ダイオキシン騒動の詳細は、渡辺正・林俊郎『ダイオキシン』(日本評論社)に詳しく書いてあるので興味のある人は是非参照してほしい。
 さて、今回の話の眼目は、地球温暖化問題もダイオキシンと同じ構図だという所にある。但し、焼却炉から出るダイオキシンが健康に重大な悪影響を及ぼすという仮説は、科学的に簡単に反証されてしまったが、温暖化が百年後の地球に危機をもたらすという仮説は未来の話なので実証も反証もできない所が違う。当分の間はウソがばれる恐れは少ないので、恐怖を源泉にする金儲けとしては、とてもよくできた物語だと思う。

 まずは少し歴史的な話からはじめよう。アメリカは第二次世界大戦の前から、石油を制する者が世界を制することを知っていた。アメリカが中東情勢に神経を尖らせ、何かと言えば紛争に介入した理由はここにある。北朝鮮を悪の枢軸の一つと罵っておきながら、北朝鮮に直接介入しなかったのは、石油も出ない国に介入してもメリットはないからだ。中東情勢の安定は、安い石油をアメリカが使って世界の覇権を握り続けるためには是非必要だったのである。
 しかし二十世紀も終わりに近づいてきて、石油文明はあと半世紀ほどで終焉を迎えそうだということが大方の目にも明らかになってきた。多くの善意の科学者や経済学者は代替エネルギーの必要性を叫び出したが、何せ石油が安すぎるので、太刀打ちできない。そこへ降ってきたのが、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の人為的増大が、地球温暖化の原因だという話であった。このままでは、地球の未来はあぶないということで、多くの恐怖話が作られたのはご存じの通りである。
 多くの人たちは真剣に地球の未来の環境を心配したであろうことは疑い得ないと思う。その一方で、それより少数の人々は金儲けのチャンス到来と思ったこともまた間違いない。そのためには、善意の人たちの恐怖を煽り続け、この恐怖が科学によって裏づけられているという物語を作る必要がある。恐怖物語が大好きなマスコミは、地球温暖化を大きく取り上げ、利にさとい企業はこれを何とか金儲けに結びつけられないかと画策したわけだ。私は金儲けがいけないと言っているわけでもなければ、善意が悪いと言っているわけでもない。ただ、西洋の古い諺にあるように、「地獄への道は善意によって敷き詰められている」こともまた確かであると言いたいだけだ。
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マッチs.jpg

 京都議定書は、当時の議長国であった日本が、いいカッコするために作らされただけです。

 温暖化防止の実効性は、まったく期待できません。

 地球の気候がいくらか温暖化しているのは事実ではないかと思います。でも、二酸化炭素濃度の増加は、地球温暖化の原因のごく一部でしかありません(過去百年で、地球の平均気温が0.7℃昇温したのが事実として、その内の0.1~0.2℃が大気の二酸化炭素濃度の増加によるものだと思います。残りの0.5~0.6℃は、太陽活動の影響や、自動車の普及、地面をアスファルトで舗装したこと、北半球は中国やインドが出している大量の煤煙の影響などが大きいと思われます)。

 よって、二酸化炭素排出量を少し減らしたくらいでは、温暖化防止なんて出来っこないのです。

 京都議定書を延長しても、二酸化炭素を一番多く排出している中国や二番目のアメリカは削減義務を負っていないのです。
 中国とアメリカは、排出量を減らすどころか、反対に増やしているのです(日本も増えていますが、中国とアメリカに比べたら微々たるものです)。世界の43%を排出している中国とアメリカがまったく削減義務を負っていないのに、日本だけが排出権取引で、毎年、二兆円以上払わされるのは、馬鹿げていると思います。

 そんな無駄遣いを止めれば、東日本大震災の復興も増税しなくて済むのです。

 自分たちの権益を増やしたい環境省の役人と、その操り人形に過ぎない政治家が、ヨーロッパに丸め込まれて出来たのが京都議定書のようです。こんなものを延長して、国民の税金を他国にプレゼントするなんて、文字通りの『売国奴』と呼ばれても仕方がないと思います。

 でも、役人と政治家は、自分たちの間違いを認めたくないのです。無駄な温暖化防止キャンペーンをそう簡単に止めないだろうと思います。とくに環境省は、地球温暖化論がインチキだったと認めたら、自分たちの存在意義を否定するようなものだから、最後の最後まで国民を誤魔化そうとすると思います。

 地球環境を云々する前に、東北の人たちの窮状をなんとしろと、私は言いたいのです。

(by 心如)

・・・

【おまけ】

◎ラジオ・エレヴァン
問い:共産主義者とは何か?
答え:マルクスとレーニンの著作を読んだ者のこと。
問い:それでは反共主義者とは?
答え:その著作の中味を理解した人のこと。

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shira

ラジオ・エレヴァンの続き。
問い:共産主義は成功したことがあるか?
答え:ある。極東の島国で。
by shira (2011-12-14 20:20) 

心如

shiraさん、コメントを頂き有り難うございます
 日本は、社会主義的な側面があるのは事実だろうと思います。しかし、日本は共産主義ではないと思います。日本で、私有財産制が廃止されたことは一度もないし、生産手段を社会の共有にすることも無かったからです。
 つまり、日本で経済的な平等が実現されたことは、いまだかつて一度もないのです。
by 心如 (2011-12-14 20:32) 

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