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TSUNE氏のコメントに対する返事 [雑感]

『地球温暖化の原因』という記事に、TSUNE氏から下記のコメント頂きました。
コメントに対するお返事を、この記事にまとめておきたいと思います。

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心如さんは「放射冷却」をご存知だと思います。曇りの夜よりも晴れた夜のほうが放射冷却が大きくなり気温が下がる。曇りの夜のほうが地表や海面が冷えにくくなるんですね。これが雲による温室効果です。もし大気に雲はおろか水蒸気も二酸化炭素も無かったら、夜はもっと冷え込みます。大気の温室効果とは、このように夜間に地表や海面を冷えにくくする効果だと理解して大筋で正しいです。

大気に含まれる主な温室効果ガスは、水蒸気と二酸化炭素ですが、ご存知のように、これらは赤外活性ガスです。水蒸気(H2O)や二酸化炭素(CO2)は、窒素(N2)や酸素(O2)と異なる分子構造なので、分子内部にその温度相応のエネルギーを持っています。昼間の日射で地表や海面の温度が上がると、その放射を受けて大気は気温が上がります。夜には逆に放射して気温が下がります。

心如さんは、地表や海面が大気によって温められるわけがないとお考えだと思いますが、大気が地表や海面を温めるのではなく、地表や海面が冷えるのを大気が妨げていると考ればよいと思います。

赤外活性ガスは、成分によって吸収する放射の波長域が決まってます。ご存知のように、水蒸気の吸収域は二酸化炭素の吸収域よりも圧倒的に広く、しかも、二酸化炭素の吸収域は、その大部分が水蒸気の吸収域と重複しています。つまり、赤外線の吸収は、二酸化炭素があってもなくても、水蒸気でほぼ決まってしまうのです。
by TSUNE (2011-12-18 19:35)
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>心如さんは「放射冷却」をご存知だと思います。
>曇りの夜よりも晴れた夜のほうが放射冷却が大きくなり気温が下がる。
>曇りの夜のほうが地表や海面が冷えにくくなるんですね。
>これが雲による温室効果です。

 晴天の夜は、地表から出る赤外線を遮るものがないので放射冷却が強くなります。雲があると地表から放射された赤外線を雲が吸収し、雲から放射された赤外線を地表が受けとるという、赤外線のキャッチボールのような現象が起きます。これを温室効果と呼ぶのが妥当かどうかは別な話ですが、雲によって放射冷却による地表気温の低下が緩和されるというのは事実だと思います。

>もし大気に雲はおろか水蒸気も二酸化炭素も無かったら、
>夜はもっと冷え込みます。
>大気の温室効果とは、
>このように夜間に地表や海面を冷えにくくする効果だと理解して大筋で正しいです。

 ここは少し問題があると思います。
 放射冷却で冷え込むのは、主に赤外線を放出する地表付近なのです。上空の空気はさほど冷えません。だから、冬場に逆転層が生じ易いのも事実なのです。
 冬場は空気が乾燥しており水蒸気の量が少ないので、赤外線の吸収・放射は少なくなります。同時に、水蒸気の持つ潜熱も少なくなるのです。
 単に、水蒸気が少ないから放射冷却が起き易いと考えるのは少し問題があります。夏場の放射冷却が弱いのは、大気に含まれる水蒸気の量が多いと、赤外線の吸収・放射が増えることよりも、水蒸気の持つ潜熱が多くなるので、温度が低下し難くい面もあるのです。夏の朝、草や木の葉に朝露が溜まっているのは潜熱を放出したからです。冬場も霜が降りますが、水蒸気の量が夏に比べたら少ないので、潜熱の量は夏のほうが圧倒的に多いと思います。
 これは湿潤断熱減率と乾燥断熱減率の値の大きさが四割も違う事からも容易に説明できます。乾燥した空気は、保持する熱量が少ないので、その分だけ冷却され易いのです。水蒸気を含む空気は、水蒸気の潜熱の分だけ多くの熱量を保持しているので冷却され難くなるのです。
 つまり、大気の温室効果だと考えているものの中に、水蒸気による潜熱の影響を含んでしまっている可能性が高いのです。

>大気に含まれる主な温室効果ガスは、水蒸気と二酸化炭素ですが、
>ご存知のように、これらは赤外活性ガスです。
>水蒸気(H2O)や二酸化炭素(CO2)は、窒素(N2)や酸素(O2)と異なる分子構造なので、
>分子内部にその温度相応のエネルギーを持っています。
>昼間の日射で地表や海面の温度が上がると、
>その放射を受けて大気は気温が上がります。
>夜には逆に放射して気温が下がります。

 大気に含まれる温室効果ガスのほとんどは水蒸気であり、その他の成分は微々たるものだというのは事実だと思います。
 窒素分子や酸素分子が、長波長の赤外線に対しては不活性だというのは事実だと思います。しかし、窒素分子や酸素分子が、その温度に応じたエネルギーを持っていないかのような話は少しおかしいと思います。
 窒素分子や酸素分子は、常温程度の低い温度では電磁波を放出しないし、長波長の赤外線を吸収しないというだけの話です。赤外線を吸収・放出しないからといって、窒素分子や酸素分子が温度に応じたエネルギーを持ってないとは言えません(温度計で気温を測る場合は、窒素分子と酸素分子の持つエネルギーが温度として測定されているのも事実です)。
 昼間、日射で地表(地面と海面)の温度が上がるのは当然ですが、その地表の熱を大気に移すのは放射だけではありません。あたかも地表からの放射だけで大気が温まっているような話は間違いです。
 また、大気は直接日射を吸収しているのも事実です。地表からの放射(26w/m^2)よりも、直接日射を吸収する値(67w/m^2)のほうが大きいようです。
 地球の熱収支で見ると、温室効果(赤外線の吸収26w/m^2)によって大気が温まっているというのは、大気の受け取る熱量全体(195w/m^2)に対し、わずか13.3%に過ぎないのです。全体の13.3%に過ぎないものを全てと思わせるような言説を支持することはできません。
 大気を温めるのは、潜熱(78w/m^2)と日射(67w/m^2)が主役であり、地表の赤外線放射(26w/m^2)ではないのです。

地球の熱収支.jpg

>心如さんは、地表や海面が大気によって温められるわけがない
>とお考えだと思いますが、
>大気が地表や海面を温めるのではなく、
>地表や海面が冷えるのを大気が妨げていると考ればよいと思います。

 大気が地表が冷えるのを妨げているのは事実だと思います。だけどその効果の主役は温室効果ではないと言っているだけの話です。
 地球にとって、海洋は湯たんぽと水枕の働きをしています。大気は毛布やダウンジャケットのような働きだと思えばいいのです。
 空気は断熱性が高いのです。だから、空気がない場合に比べて地表の温度が高くなるのは、地表からでる赤外線を温室効果ガスが吸収・放出することよりも、断熱性が高い空気の層が熱を逃がさないように地表を覆っていることのほうが大きいのです(これは、実際の温室が温室効果で温まっているのではなく、温まった空気が温室内に保持され、温室の外の冷たい空気が入ってこないことで、温室内が温まっているのと同じ原理です)。

 なぜ、最近の高断熱住宅では、窓に厚いガラスではなくて、ペアガラスを使うのか考えたらその理由が容易に解ると思います。赤外線の吸収で考えたら、空気よりもガラスのほうが赤外線をよく吸収するのです。でも、ガラスに比べて空気の方が断熱性が高いから、厚いガラスにするより、空気の層を挟んだペアガラスにしたほうが、室内の熱が外に逃げないのです。
 空気(大気)は断熱性(保温性)が高いというのは事実ですが、それはいわゆる温室効果(赤外線の吸収)とはほとんど関係がない話なのです。空気の断熱性の高さを、温室効果と混同するような議論には与しません(また、地表の空気が上空の空気と容易に混ざらないのは、地球の重力の作用です)。

>赤外活性ガスは、成分によって吸収する放射の波長域が決まってます。
>ご存知のように、水蒸気の吸収域は二酸化炭素の吸収域よりも圧倒的に広く、
>しかも、二酸化炭素の吸収域は、その大部分が水蒸気の吸収域と重複しています。
>つまり、赤外線の吸収は、二酸化炭素があってもなくても、
>水蒸気でほぼ決まってしまうのです。

 赤外線の吸収・放射は空気に含まれる成分によって違いがあるのは事実だと思います。そして、その主役は水蒸気であり、二酸化炭素は空気中に含まれる量が水蒸気に比べたら微々たるものであり、水蒸気と吸収・放射する波長も重なるというのも事実だろうと思います。
 だから、二酸化炭素の影響があるとしても、冬場の空気が乾燥した場合に若干影響がある程度で、そんなに大きな影響はないのも事実だと思います。

 大気に地表の熱を運ぶのは水蒸気の持つ潜熱が一番大きいのです。地表の出す赤外線を主に吸収しているのも水蒸気なのです(同じ体積の空気に含まれる水蒸気の分子量と二酸化炭素の分子量が桁違いなので当然ですが…)。そして、地表の温度を温暖に保っているのは、断熱性の高い空気の厚みによる保温効果であって、赤外線の吸収による温室効果ではないのです。
 この事実を無視して、大気に二酸化炭素が含まれていなければ、地表の温度は-18℃になるなんて言っている気候学者は、大ウソつきのペテン師です。

(by 心如)


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鷹ノ巣タマ

失礼ながら突然メール致します。
放射冷却とはどんな現象でしょうか?
放射冷却を放射するものと環境に分けると、放射するもの例えば地表面は環境=上にある空気より温度が下がるわけがありません。
実際に起きているのはこうした一見、こうした第二法則に反してかのような現象です。
具体的な現象は
OKWAVEの
「放射冷却現象」と「温室効果」についての質問です
http://okwave.jp/qa/q5546109.html
を参照してください。

地表面を冷却するのは放射とはまったく別システムを考えるべきだと私は考えます。
筑波山の地表面のデータをみると地表面は昼ころから下がり初め湿球温度に落ち着くそうです。
放射が地表を冷やすと仮定するのは明らかにまちがえです。
昼から地表面を冷やすシステムが風のない晴れた日に地表付近の空気を冷やすと考えるのが自然だと思いますが、こうした地表面の温度変化のシステムは判っていないと思います。
放射冷却に物理的な根拠はないと思います。
以下のページを参照してください。
http://takanosunotama.blogspot.com/2011/10/blog-post_09.html
http://takanosunotama.blogspot.com/2011/10/blog-post_11.html
温室効果は私も詐欺だと思います。
by 鷹ノ巣タマ (2011-12-19 12:42) 

TSUNE

大まかに言って、大気が温まるのも、大気が冷えるのも、地表や海面の温度変化によると考えて正しいです。温室効果ガスによって大気が温まり、大気によって地表や海面が温められるというふうに考えるとおかしなことになります。

地表や海面が日射で温まると、大気が温まります。地表や海面が冷えていくと、大気も冷えます。ただし、大気が冷えるときには放射を射出して冷えるので、地表や海面は大気からの放射を受けるために、大気がない場合よりも冷めにくくなります。これが大気による温室効果です。

窒素や酸素の気体分子は、放射を吸収したり射出したりしません。雲や塵、水蒸気や二酸化炭素は放射を吸収したり射出したりするので、温室効果物質とか温室効果ガスと呼ばれます。

温室効果ガスが地表気温を上昇させる効果は、温室効果ガス濃度に比例しません。濃度が高くなるにつれ頭打ちになっていきます。今世紀末に気温が6℃上昇するとかいう話がニュースで伝えられますが、あれはさまざまなフィードバックが正に働くとして計算するとそうなるという話に過ぎないです。二酸化炭素による温室効果の寄与はごく僅かです。「今世紀末までに6℃上昇する可能性も否定できない」なんて言いますが、99.9%あり得ないですね。

心如さんが仰るように、大気にエネルギーを伝達するのは、放射ばかりではないです。熱の伝導や対流、潜熱も大きいので、放射だけで説明づけようとするのは無理があります。
by TSUNE (2011-12-19 13:02) 

TSUNE

僕のコメントが、鷹ノ巣タマさんのコメントと入れ違いで掲載されてしまいました。そんな事情で、僕のコメントは鷹ノ巣タマさんのコメントを読まずに書いたものです。
by TSUNE (2011-12-19 13:06) 

心如

鷹ノ巣タマさん、コメントを頂き有り難うございます
 お返事は長くなりますので、別記事にまとめようと思います。
 悪しからず、ご了承ください。
by 心如 (2011-12-19 22:01) 

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