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温室効果とは [科学]

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http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/portal/chishiki_ondanka/p03.html
温室効果とは

 地球の大気には二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれる気体がわずかに含まれています。これらの気体は赤外線を吸収し、再び放出する性質があります。この性質のため、太陽からの光で暖められた地球の表面から地球の外に向かう赤外線の多くが、熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。この戻ってきた赤外線が、地球の表面付近の大気を暖めます。これを温室効果と呼びます。
 温室効果が無い場合の地球の表面の温度は氷点下19℃と見積もられていますが、温室効果のために世界の平均気温はおよそ14℃と推定されています。
 大気中の温室効果ガスが増えると温室効果が強まり、地球の表面の気温が高くなります。

温室効果の模式図
温室効果の模式図.JPG
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>地球の大気には二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれる気体がわずかに含まれています。

 地球の大気には、水蒸気が沢山含まれています。二酸化炭素やその他の温室効果ガスはわずかにしか含まれていませんが、水蒸気は意外に多く含まれていますので、厳密に言うと、この記述は間違っています。

>これらの気体は赤外線を吸収し、再び放出する性質があります。

 温室効果ガスと呼ばれる物質に、赤外線を吸収・放射する性質があるのは事実だと思います。

>この性質のため、太陽からの光で暖められた地球の表面から地球の外に向かう赤外線の多くが、
>熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。
>この戻ってきた赤外線が、地球の表面付近の大気を暖めます。
>これを温室効果と呼びます。

 太陽光で温められた地表(地面と海面)から、温度に応じた赤外線が放射されるのは事実だと思います。でも、地表の熱は、主に水蒸気の潜熱となって地表から大気に移動します。地表の熱が、すべて赤外線になるような記述は厳密に言えば間違いです。
 また、地表から放射された赤外線を温室効果ガスが吸収するのは事実ですが、地表から放射される赤外線を100%吸収していません。地表から大気に放射で移動する熱量は平均すると26w/m^2でしかありません。平均して40w/m^2は地表から宇宙に直接放出されています。まるで、大気が地表から放出された赤外線の大半を吸収しているかの記述も、厳密に言うと間違っています。40w/m^2と26w/m^2を比べたら、宇宙に逃げ出すほうが大きいのは明白です。
地球の熱収支.jpg

 また、地表の約七割は海洋です。大気の熱容量と海水の熱容量を比べると、3600倍も海水のほうが熱容量が大きいのです。大気に蓄積された熱で、再び地表(地面と海洋)を温めるなんてことは、熱容量からみて在り得ません。
 地表の大気が温かいのは、大気の厚みによる保温効果(断熱圧縮による温度勾配)であって、地表からの赤外線を温室効果ガスが吸収・放射する作用はごく弱い作用しかありません。

>温室効果が無い場合の地球の表面の温度は氷点下19℃と見積もられていますが、
>温室効果のために世界の平均気温はおよそ14℃と推定されています。

 これは明らかに間違った記述です。太陽放射と地球のアルベド(反射能)だけで計算すると、-18℃ないし-19℃になるのは事実ですが、これはあくまで、地球に大気がない場合の地表の平均温度です。大気がないから温室効果もないのは事実かもしれません。しかし、地球に大気が存在し、温室効果だけが無い場合は、大気の厚みによる保温効果が存在するので、地表の平均気温は-18℃や-19℃にはなり得ません。
 また、地球に大気が存在する場合に、地表の平均気温が14℃ないし15℃になっているのは事実だと思いますが、それは大気の厚みによる保温効果(大気圧による断熱圧縮作用による温度勾配)による昇温が30℃くらいありますので、いわゆる温室効果による昇温だけで、地表の平均気温が14℃になっているかのような記述も間違いなのです。

>大気中の温室効果ガスが増えると温室効果が強まり、地球の表面の気温が高くなります。

 大気中の温室効果ガスが増えると、いわゆる温室効果と呼ばれる作用がいくらか強くなるのは間違いではないと思います。でも、巷で言われている、温室効果の強さが33℃の昇温だというのは明らかに間違っています。温室効果の強さは、せいぜい、3℃くらいの昇温でしかありません。そのうちの、80~90%くらいは水蒸気によるものです(二酸化炭素の影響は5%程度しかないという説もありますが…)。
 よって、大気中の二酸化炭素濃度が倍増しても、地球の平均気温は0.3~0.6℃くらいしか上昇しないと思われます。過去、100年間で、大気中の二酸化炭素濃度は、約300ppmから約400ppmに増えたと言われています。この二酸化炭素濃度が100ppm増加したことによって昇温した分は、0.1~0.2℃程度にしかならないことを意味します。過去100年間に、地球の平均気温が0.7℃くらい上昇したのが事実だとすれば、残りの0.5~0.6℃は温室効果ガスの増加以外の原因で昇温したと考えるべきだと思います。

 どちらにしても、温室効果が無ければ-19℃というのは明らかに間違った説明です。

 地球に大気が無い場合に、地表の平均温度が-19℃になるのです。地球は、海洋という熱容量の大きな湯たんぽと水枕を持ち、大気という断熱性の高い毛布をまとっているから、温暖で穏やかな気候になっているのです。
 大気の保温効果の強さが33℃の昇温なのです。その内の、温室効果が占める割合は、せいぜいでも3℃くらいしかないのです。その温室効果の内の、二酸化炭素による昇温効果なんて微々たるものなのです。二酸化炭素濃度の変化で気候が大きく変動するなんて、気象庁の説明はどう考えても納得できません。

(by 心如)


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TSUNE

19日のブログ記事を、引用されたエネルギー収支の図を見ながら読んだのですが、「地表が放出する赤外線は66w/m^2」というのが、図から読み取れませんでした。僕は図から「地表からの射出」を、390w/m^2と読み取りました。どうして66w/m^2になるのかと図をよく見たところ、地表からの射出390w/m^2から大気からの吸収324w/m^2を差し引くと66w/m^2になるので、正味のエネルギー移動が66w/m^2、という意味なのですね。この記事中の「地表から大気に放射で移動する熱量は26w/m^2」というのは、この66w/m^2から「地表から宇宙に直接放出されている」40w/m^2を差し引いたのですね。

心如さん自身、続く文章で「問題なのは、物体は電磁波の放出と吸収を同時に行っていることを考慮できないバカがいることなのです」と書かれていますが、射出と吸収を考慮してエネルギー収支を考えるには、最初から差し引いてはいけないのだと思います。

地表は大気から放射によるエネルギーを受け取っています。もし、大気からの放射がなかったら、地表の温度はもっと下がるわけです。これを「地表が大気によって加熱される」というように考えてしまうとおかしくなってしまいます。「大気からの放射によって地表が冷めにくくなる」というように考えられませんか。

日が昇り地表気温が上昇しているときには、地表近くの大気は正味で地表からエネルギーを受け取っています。このときには、地表が地表近くの大気から受け取るエネルギーよりも地表近くの大気が地表から受け取るエネルギーのほうが大きい。太陽高度が低くなり夜になると、これが逆転して、地表近くの大気が地表から受け取るエネルギーよりも地表が大気から受け取るエネルギーのほうが大きくなります。夜間の大気からの放射は、地表の放射冷却を小さくする効果、冷めにくくする効果があるわけです。

大気の気温減率が物理的に決まっているのは仰る通りです。ただ、地球では6000mほどの高さの気温が平均して-18℃になりますが、これはたまたま対流圏の中央がその温度になるに過ぎません。もし大気に水蒸気や二酸化炭素が無かったら、もっとずっと低い高度の気温が-18℃になります。このとき大気の乾燥断熱減率はほぼ変わらないので、地表気温は下がることになります。
by TSUNE (2011-12-23 11:14) 

心如

TSUNEさん、コメントを頂き有り難うございます

>心如さん自身、続く文章で
>「問題なのは、
>物体は電磁波の放出と吸収を同時に行っていることを考慮できない
>バカがいることなのです」と書かれていますが、
>射出と吸収を考慮してエネルギー収支を考えるには、
>最初から差し引いてはいけないのだと思います。

 ここははっきり言わせてもらえば、「差し引きしてはいけない」のではなくて、「差し引きしないといけない」のだと私は考えています。よって、TSUNEさんの意見には同意いたしかねます。

 放射と吸収が同時に行われていることを考慮するということは、放射する電磁波と吸収する電磁波を差し引きし、正味の熱の移動量を考えることを意味するからです。

 地表が平均して390w/m^2の電磁波を放出し、同時に平均して324w/m^2の電磁波を吸収しているのであれば、地表は差し引きした66w/m^2の熱量を放射で失っていると考えるのが正しいのです。

 地表が、大気から324w/m^2の電磁波によって温められていると考えるのは、熱力学の第二法則を無視したおバカな考えだと云わざるを得ないのです。
by 心如 (2011-12-23 20:43) 

TSUNE

心如さん、コメントありがとうございます。

射出する放射と吸収する放射を差し引きしたものが、正味のエネルギーの移動量となる、というのは、そのとおりですよ。だけど、最初から差し引いてしまうから、夜間に地表が大気からの放射を受けて冷めにくくなる、ということが説明できなくなってしまう、大気が地表を温めるなんておかしいという所へ行ってしまうんです。

地表が大気放射によって温められると言うよりも、大気放射を受け取ることで冷めにくくなる、差し引きで正味の放射冷却が小さくなる、というように考えることができるわけです。
by TSUNE (2011-12-24 00:19) 

心如

TSUNEさん、再度のコメントを頂き有り難うございます

 夜間に、地表が大気からの放射を受けて冷め難くなるなんて考えは少しおかしいのです。

 地表(地面と海面)の熱容量と、空気の熱容量を比較すると、海面であれば3600倍も海水のほうが熱容量が大きいのです。

 夜間、地表が冷め難いか冷め易いかを決めるのは、主に地表の物質の熱容量なのです。だから、海洋の気温の日較差は小さく、砂漠のような場所の日較差は大きくなるのです(大気の組成は、水蒸気以外はほぼ同じだと思います)。

 次に、夜間の地表付近の気温低下を穏やかにしているのは、空気に含まれた水蒸気の持つ潜熱です。これは、前に一度指摘させて頂いたと思いますが、乾燥断熱減率と、湿潤断熱減率の値の違いを見れば、空気に含まれた水蒸気の持つ潜熱が、気温に与える影響が大きい事は明らかだと思います。

 大気に含まれる温室効果ガスが、大気の温度に応じた赤外線を放射するのは事実だと思います。しかし、熱は温度の高い物体から、温度の低い物体にだけ移動するのです。

 空気の熱容量は小さいので、地表が放射冷却で冷え始めると、乾燥した空気は水蒸気を含んだ空気に比べて、急速に冷えてしまうと思います。これは、温室効果のせいと言うよりも、乾燥した空気は水蒸気の潜熱として保持する熱量が小さいからなのです。そして、一旦、地表と同じ温度に下がった空気からは、地表に移動する熱はないのです。

 だから、陸地で、植物が多い場所のほうが、砂漠に比べて気温の日較差が小さくなります。これは、昼間、光合成によって空気中に水蒸気が多く放出されているからだと思います。二酸化炭素濃度だけで見れば、海洋も緑地も砂漠も、そんなに差がないのに、気温の日較差に大きな違いが生じるのは、地表の熱容量と、空気に含まれる水蒸気の量に大きな差があるからと考えれば解り易いと思います。

 何度もくり返しますが、熱容量の小さな空気が、熱容量の圧倒的に大きな地表を放射という熱の移動で温める(冷め難くする)なんて考えは、物理学的には妙な考え方になると言わざるを得ないのです。
by 心如 (2011-12-24 01:26) 

心如

TSUNEさん

 上記コメントは、いわゆる温室効果と呼ばれているものの強さが、巷で言われているほど大きなものではないという意味です。

 巷で言われている十分の一以下の弱い作用としてなら、温室効果が存在することを否定するつもりはありませんので、念のために申し添えておきます。

by 心如 (2011-12-24 01:37) 

TSUNE

心如さん

いわゆる「温室効果」とは、大気では局所的に熱力学的な平衡状態が成立する(キルヒホッフの法則が成り立つ)と仮定し、地球放射を黒体放射とみなして(ステファン・ボルツマンの法則が成り立つとして)、平板大気モデルにおいて、地表気温を物理的に説明できると、いうわけです。僕はこのような物理的な説明が成り立つことを否定しません。大気に赤外活性ガスがあると地表気温が高くなることも理解できます。

しかし、この大気モデルで放射の平衡から求めた地表気温は、じっさいの気温を再現しないのです。モデラーはそこで「対流調節」と呼ぶ補正を加えます。放射平衡による計算結果と現実のギャップこそが対流の働きだと言い、現実の大気の温度勾配に近づけた補正式をもって「対流活動を考慮したモデルができた」と言うわけです。

このようなモデルで、大気の吸収率を変えて計算すると気温が上がる。20世紀に気温が上がったのは、人為的なCO2のせいだと。だからCO2を削減しないといけない。こんな論理がまかりとおると言うのが、いわゆる「人為的CO2による地球温暖化」です。ほんとうは、計算している彼らだって、気候変動とは放射平衡で説明できるほど単純なものでないと分かってるはずです。しかし「温室効果」は「CO2による地球温暖化」を説明するには理にかなっているのだと思います。

二酸化炭素にいわゆる「温室効果」があるのは事実だと思います。しかし、地球の温室効果とは水蒸気が圧倒的であり、二酸化炭素の寄与はわずかです。二酸化炭素による温室効果だけで今世紀末までに4℃も上昇するなど99%あり得ないと思います。過去の気候変動の要因は二酸化炭素ではなく、二酸化炭素以外にも気候が変動する要因は存在するわけです。
by TSUNE (2011-12-24 13:05) 

心如

TSUNEさん

>大気に赤外活性ガスがあると地表気温が高くなることも理解できます。

 地表の気温がなぜ高いのかは、赤外線の吸収と放射とはあまり関係がないと私は思っています。

 これは、実際の温室が温まるのは、いわゆる温室効果とは関係がないのと同じです。

 地表の空気は、地球の重力によって、上空の空気の重みを受けているのです。空気は上空の空気から圧力を受けて圧縮されています。

 だから、地表付近の空気が、地表から熱を受けとって温度が上がっても、上空の空気との温度差がある一定の割合にならないと対流が起きません。
 この対流が起きるのにある一定の割合の温度差が必要で、これが気圧による温度勾配として観測されることは、気象学の世界では常識です。

 温室の構造により、温室内の温まった空気が、外部の冷たい空気と隔てられているから、温室内の空気が容易に温まるのと同じように、地球の重力と空気の密度による気圧の差が、地表の温まった空気と上空の冷たい空気が容易に混ざらない効果を生んでいるので、地表付近の空気は上空の空気に比べて温まり易いのです。

 もし、空気の断熱性が低くて、地表付近の空気が温まると、その熱が速やかに大気全体に拡散してしまうとしたら、地表付近の気温はもっと低い温度になってしまうのは容易に予測できると思いますが…

 実際の温室の空気が温まるのも、地表付近の空気が温まるのも、いわゆる温室効果とはあまり関係がない可能性が高いと私は思います。

〔※ 温室効果の作用が、一般に言われているほど大きくないという意味であって、温室効果がまったく存在しないという意味ではありません〕
by 心如 (2011-12-24 15:36) 

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