『痘痕も靨』かな…!?

　『愛国者』から連想するのが、『痘痕も靨』という言葉です。

痘痕（あばた）も靨（えくぼ）
　愛情をいだけば、醜いはずの痘痕でさえ靨のように可愛らしく見えるということ。好意を覚える人の欠点や短所が、逆に美点や長所に見えるという意味。
▼種痘のなかった昔は天然痘にかかる人が多く、治癒しても凹凸の痕（痘痕）が顔に残った。
[類]惚れた欲目。面面の楊貴妃。
（故事ことわざの辞典/あすとろ出版）

　ジーニアス和英辞典（第2版）で、『愛国主義者』を調べると、"nationalist"という単語が出てきます。
　ジーニアス英和辞典（第3版）で、"nationalist"を調べると、「民族〈独立〉主義者；国家[国粋,愛国]主義者」、「国家[民族]主義政党員,国民党員」という言葉が載っています。

　自分の所属する国家を愛することは、ある意味で当然のことかも知れません。

　しかし、何事にも長所と短所がありますが、国家の長所だけでなく、短所まで長所と思い込んでしまうのが愛国者ではないかと愚考します。

　その典型的な例が、『天皇制』ではないかと思います。「門地による差別は許されない。」というのが、現代社会の共通認識です。これが正しいとすれば、『天皇制』は日本社会の欠点として評価されるのが妥当なはずなのです。
　しかし、『天皇』を敬えという『愛国主義者』にとっては、『天皇制』は継承されるべき、日本の美しい伝統なのです。これが、『痘痕も靨』のほんの一例です。
　『天皇制』を信奉するのは、個人の自由です。
　でも、国家が、『皇族』という名の特定の一族の生活を、莫大な税金を使って保障するのは許せないと考えるほうが、正当な理由のない差別をなくすという考えには合うと思いますが…

　反対に、左翼思想（社会主義や共産主義）というのも、ありもしない理想国家（理論的には完璧な国家ですが、人間には実現不可能です）を信奉するという点において、右翼思想と同根の（現実から目を背ける）病気ではないかと思います。

　これは、絵画や彫刻で表された理想の美女に恋をするのと同じです。
　存在しない理想の女性に、どんなに恋焦がれても、結局、目の前の現実の女性と向き合うしか、子孫を残す方法はないのですから…

　存在不可能な理想国家と比較し、自分の所属する国家を否定的にとらえる左翼的な思想に生産性があるとは思えません。しかし、直すべき短所を長所とすり替えたり、現実を直視しない右翼的な思想も、社会の進歩を阻む面が大きいと思います。


　必要以上に悪く見るのもいけないが、必要以上に良く見るのもいけないのです。


　「ありのままに見て、ありのままに考える」が、やっぱり正しいのでは…

　なんてことを、今日もぼやいている駄目オヤジですが。。。。（小父蔵）


　
　花は、誰かに綺麗だといってもらうために咲いているのではありません。

　子孫（種子）を残すために咲いているのが現実です。（こういうことを言うと、嫌われるのも事実ですが…）

タグ：現実主義 共産主義 社会主義 ありのまま 愛国者

コメント 10

　「痘痕も靨」論ですが同様な趣旨の記事を前に書いたことがあり、TBを送らせていただきます。（過去記事ですが、愛着のある記事です。）

　皇室や天皇陛下についての理解なのですが、「一君万民」の「君」の部分のみに今の価値観でスポットを当てればおかしな部分もあるやもしれませんが、元々立憲君主制による万民の平等を表現するために作られた言葉で、言わば「平等思想」を表した言葉として私は理解しています。
　「君」は人であるやもしれませんが制度上はあくまでも人ではない「君」であり、その証拠には職業選択の自由や選挙権などの基本的人権を与えられてはいません。
　基本的には制度上の象徴的な存在であり、それを代表し運営しているのが天皇陛下という「人」なのだと考えていますが、いかがでしょうか？
by たいせい (2009-07-17 11:39) 

　いや〜渋いですねえ。私の軽っちい記事とは趣がまるで違います。
　でまあ現実世界では、資本主義であっても公的資金による援助とか貿易の保護とか利益の再分配とかいった社会主義的施策をやらないと社会が壊れるし、逆に社会主義政権下でも経済の自由化という要素を入れてうまく回るということがあります。
　マルクスも三島も読んだことのない浅学の私の感覚からすると、天皇制も社会主義革命も「物語＝フィクション」に過ぎないという気がします。現実の人間は矛盾だらけで、何かに帰依すればhappyてなわけにはいかないでしょう。そういう点で、天下国家のことをギャーギャーと力む人（朝生テレビの出演者？）よりも、今目の前のこと、例えば誰かと誰かがいがみ合っているというようなことを少しでも何とかしようとしている人を私は尊重したいですね。
by shira (2009-07-17 23:11) 

愛国主義者も民族主義者も天皇制支持者も共産主義者も資本主義者もキリスト教信者も仏教信者も、そして、無神論者さえも、すべて宗教信仰者と思います。そして信仰は自由です。
日本の歴史も世界の歴史もすべて信仰の歴史。これからもそうあり続けるでしょう。あるがままにあり続けるでしょう・・・。
by がま親分 (2009-07-18 00:17) 

たいせいさん　　コメント 有り難うございます
　門地によって、誰かが冷遇されたら差別といって騒ぐのに、優遇されていることは問題にしないという制度は見直すべきではないかと…
by 小父蔵 (2009-07-18 01:22) 

shiraさん　　コメント 有り難うございます
　個人的には、権威にはすり寄り、一般市民に対して威張る右翼は嫌いです。
　だからといって、〇〇民主主義人民共和国と名乗りながら、ちっとも国民を大切にしていない、非民主的な国家も大嫌いなのですが…
by 小父蔵 (2009-07-18 01:30) 

がま親分さん　　コメント 有り難うございます
　仰る通り、なにを信仰しようと自由です。
　ですが、血税を使うべきモノかどうかとなると、話は違ってくると思いますが…
by 小父蔵 (2009-07-18 01:33) 

いつも訪問＆niceなどありがとうございます（*^_^*）
連休は最終日くらいしか天気よくないみたいですね(>_<)
それでも今日も笑顔で元気に楽しく頑張りましょう(^_^)v
by 父ちゃん (2009-07-18 05:40) 

父ちゃんさん　　コメント 有り難うございます
　笑顔で、楽しく生きましょう＾＾
by 小父蔵 (2009-07-18 09:12) 

国を愛するならまだ良いですね
それこそあばたデモね
今は国を愛するどころか自分を愛して止まない人そして役人
そんなのばかりに思えます
by 大将 (2009-07-19 08:42) 

大将さん　　コメント 有り難うございます
　そうなんです
　思想の左右とは無関係ですが、自分の利益のため国家を持ち出す輩が一番嫌です。
　世界平和と言いながら、中国や北朝鮮の軍国主義の応援をするような売国報道マスメディアは特に最低ですが…
by 小父蔵 (2009-07-19 19:57)