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懐疑的な態度こそ、正統な科学的態度では…!? [科学]

気候変動がわかる気象学 (やりなおしサイエンス講座)

気候変動がわかる気象学 (やりなおしサイエンス講座)

  • 作者: 住 明正
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2008/09/29
  • メディア: 単行本


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 懐疑派の存在と反科学主義

 地球温暖化問題が、政治問題化するにつれて、石油が売れなくては困る産油国や石油業界、温暖化対策に批判的なビジネス界などを中心に、「温暖化は真実か?」などという懐疑的な意見が提出され続けてきました。そこで、地球温暖化問題の広がりを批判する人たちを、一般的に、懐疑派とよんでいます。反温暖化論者とよばないのは、現在の温暖化の理由を示して明確に人間活動の関与を否定しているわけではなく、「今の人為的な原因による温暖化が正しいのであろうか? こういう可能性もある、あの点が解明されていない、こんな可能性があるかもしれない」という懐疑を提出しているだけだからです。疑問を提出することによって、何事も決まらない、わからないとして、現状維持を図ることが目的であると考えられます。このような風潮に、一定の世間の支持が集まる背景には、現状が抱え込んでいる、「反科学主義」「反知性主義」、そして「反権威主義」があると考えられます。実際、「肥大化した中央政府は、国民の利益を犠牲にして特定の部分の利権のために動いている」という不満は、社会保険庁の年金問題や防衛省での賄賂事件などの記事を通して繰り返し作り出されていますし、専門家も必要な情報を隠し、自分たちの利益のためだけに動いているのではないかと思わせるような事件(データの捏造など)も起きています。最近、頻発する不正論文の事件や研究費の悪用なども、専門家としての科学者に対する不信をもたらす結果となっていると思います。
 しかし、だからといって、「反知性主義」で将来が開けるのでしょうか? 温暖化に関する科学は、温暖化に関するメカニズムを解明することが最終目的ではありません。現在何もしないで21世紀後半を迎え、地球が温暖化すること証明されたとしても、そのときの人間社会の姿が悲惨なものであったとしたら、「サイエンスは正しかった」と喜んでいるわけにはいきません。社会化した科学技術ということが言われている現在を生きる人間として、なるようになると手をこまぬいていていいのでしょうか? 現在、そして、将来起き得る問題に対して果敢に挑戦してゆくことが求められているのではないでしょうか?
(以下、省略)
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 温暖化脅威派の主張は、地球温暖化の原因が二酸化炭素濃度の増加が原因だと証明されていないのに、手遅れになるといけないので、早急に対策すべきだということなのです。

 しかし、本来の科学者として正しい態度は、安易に根拠の薄い理論に飛びつくことではないと思います。むしろ、現象をよく観察し、考えられるあらゆる可能性を吟味する懐疑的な態度こそが、正統な科学的態度ではないかと、私は思います。

 地球が、過去100年でいくらか温暖化しているというのは事実かもしれません。その同じ時期に、人類が化石燃料を大量に消費し、大気中の二酸化炭素濃度が増加しているのも事実だと思います。それによって、いくらかの気候の温暖化を招いている可能性はあります。だからと言って、二酸化炭素濃度の増加が、地球温暖化の主因であるとは言えないのです。

 過去記事で何度も繰り返していますが、温暖化の原因と言われている、いわゆる温室効果の強さが33℃の昇温というのは明らかに間違っています。確かに、地球に大気が無い場合の地表の温度を、太陽放射と地球のアルベド(反射能)から計算すると-18℃になるというのは事実です。そして、地球の大気の底(地表から1.5~2.0m)で気温を測ると、地球の平均気温は約15℃になるというのも事実だと思います。
 しかし、その大気がない場合と、大気がある場合の温度差(-18℃と15℃の差33℃)のすべてが、いわゆる温室効果(温室効果ガスによる赤外線の吸収)によるものだという話が間違っているのは明白なのです。

 どうして、大気が無い場合の-18℃と、実際に大気の底(地表から1.5~2.0m)で観測した平均気温15℃の差がすべて、地表から放出される赤外線を温室効果ガスが吸収することによって温まっているのだと言えるのでしょうか? 大気は、地表に接触して熱伝導と対流によって暖められています。また、水の蒸発による潜熱によって地表から大気に熱が移動しています。赤外線の放射・吸収よりも、対流や潜熱のほうが大きいのは、地球の熱収支をみれば明らかなのです。それらを無視した乱暴な議論をするのはなぜか、科学者の頭の構造が私には理解できません。

 大気が存在すると、地表の空気は上空の空気から地球の重力で押されて圧縮されます。これは、地表の空気は大気の厚みによる昇温作用(断熱圧縮による温度勾配)によって昇温していることを意味します。
 実際、大気の中でも太陽放射(地表の熱)の影響が顕著な対流圏だけでみて、その厚さは極地方で8km、赤道地方で18km、平均して12kmくらいはあるのです。大気(対流圏)の中心に相当する高度6000mの平均気温は、-18℃になっています。これは、大気がない場合の地表の平均気温の計算とぴったり一致するのです。つまり、大気の平均気温は、大気の中心(高度6000m)で測れば、理論通りの値になっていることを意味しています。
 気温は、地表に近付くほど、大気の圧力が上がり空気が圧縮されて温度が上昇します。反対に、上空にいくほど、大気の圧力は下がり空気は膨張して温度は下降するのです。
 こんなことは、気象学の初歩の初歩です。高度(気圧)によって気温が変化することを否定する気象学者はいないはずです。
 それなのに、大気がある場合と、大気がない場合の地表の温度差を、すべていわゆる温室効果によるものだという、とんでもない仮説に異を唱える科学者はあまりいないのです。ごく少数の学者が、同様の意見を言われてますが、「懐疑派」というレッテルを貼られ、まともに議論の中に加えてもらえないようです。

 私の記事を読むモノ好きな気象学者はいないと思います… 万が一、奇特な方がいましたら、いわゆる温室効果(地表から放出される赤外線の吸収により大気を温める効果)の強さが33℃の昇温だなんて出鱈目な話なのです。
 そんなおかしな説で国民を騙すのは止めて下さい。いずれ嘘はばれると思います。そのとき、科学界全体が、国民から見捨てられかねません。そうならないように、科学界の中から自浄作用をお示しくださることを祈っております。

(by 心如)

・・・

【おまけ】

◎内緒に
 ある時、スターリンが川に落ちて溺れた。それを見た一人の青年が勇敢にも川に飛び込み、スターリンを助けた。
スターリン 「ありがとう、青年よ。褒美に君が望むものを何でも叶えてあげよう。家か? 車か? それとも美女か?」
青年 「はい。それでは、私があなたを助けたことを内緒にしてくださいませ」

・・・

〔科学、地球温暖化、気候変動、温暖化詐欺〕


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コメント 4

大将

科学って原子や細胞をいじくりまわすだけのものから
そろそろ卒業する時期なのかもしれないと思います
by 大将 (2011-12-03 19:33) 

心如

大将さん、コメントを頂きありがとうございます
 宗教と政治を分離したように、科学と政治も分離すべきではないかと思います。政治権力と結びつくと、腐敗するのは人間の性のようです。
by 心如 (2011-12-04 07:26) 

TSUNE

心如さん

大気の気温減率は「高度が上がるにつれて気温が下がる割合」です。これを「高度が下がると気温が上がる」と考えてしまうとおかしなことになります。

心如さんが書かれているように、平板大気モデルでは、大気がない場合に地表温度は -18℃になります。

じっさいの大気と同じ質量で、太陽放射や赤外線を吸収する気体や物質をまったく含まない大気を想定し、伝導や対流や潜熱を無視すれば、地表の気温は -18℃で、高度12kmの対流圏界面の気温は -84℃になります。気温減率は100mあたり0.55℃です。この場合、大気からの放射はゼロなので、地表面から宇宙への放射と地表面が太陽から受け取る放射が吊り合うことになります。

ここで、地表気温が15℃、高度12kmの対流圏界面で -51℃の大気があるとします。気温減率は100mあたり0.55℃です。この場合には、地表面からの放射は、7割がたが大気に吸収されています。地球から宇宙に放射されているのは3割がたが地表面からの放射で、7割がたが大気からの放射です。これらが太陽から受け取る放射と吊り合うことになります。

問題は、伝導や対流や潜熱を無視して、放射だけの計算が現実の気温を再現するのか?ということです。じっさいに計算してみると地表気温がうんと高くなって合いません。そこで現実の温度勾配を再現するようにギャップ調整を加えます。これをモデラーは「対流調節」と呼んでいます。そうしてつくったモデルに、大気の吸収率を変えて求めたのが、温室効果による気温上昇値です。

このようにして求めた気温上昇について、懐疑的な学者は、ほんらい大気には、温度分布を定常状態に向かわせる対流活動がつねに働いており、モデルの予測値は過大である、というものです。
by TSUNE (2011-12-04 16:25) 

心如

TSUNEさん、コメントを頂き有り難うございます
 長文のコメントなので、お返事は別記事に書こうと思います。
 悪しからず、ご了承ください。
by 心如 (2011-12-04 17:19) 

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