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本当に不都合な真実(其の弐) [気候変動]

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『本当に不都合な真実』(第二回、作 心如、出版予定なし)

 土曜日の午後、本間家の玄関前にて、

織田真理 「加奈ちゃん、本間先生のお宅に来るのは初めてなの」

大場加奈子 「はい。先輩はどうなんですか」

織田真理 「私は、二回目よ。一度だけ前に来たから」

本間悠斗 「やあ、君たちよく来たね。今日は休日だから、織田さんの話をゆっくり聞けるね。さあ、上がってくれ」

大場加奈子 「お休みにお邪魔してすみません。先輩が変なことを言い出すから、話がややこしくなって困ります。先生、今日は先輩によく教えてあげてください」

本間悠斗 「確かに織田さんの話は世間の常識と違うけど、常識を疑うところに科学の進歩があるのも事実だ。まず、織田さんの話をじっくり聞こうと思う。織田さん、説明してくれないか」

織田真理 「私は、大気の温室効果の大きさが問題だと思います。加奈ちゃん、もう一度、大気の温室効果がどのくらいか言ってみてよ」

大場加奈子 「先輩も認めていたと思いますが、太陽放射と地球のアルベド(反射能)から計算すると、地球の平均気温は-18℃になるんです。でも、実際に観測される地球の平均気温は15℃くらいになっています。-18℃が15℃になっているのだから、大気の温室効果は、地球の平均気温を33℃も高くしているんです。だから、温室効果ガスの増加が地球温暖化の原因だと言われているのだと思います」

織田真理 「地球温暖化の原因が何かは後でゆっくり話すとして、まずは33℃の昇温のすべてが大気の温室効果によるモノだと言えるのかどうかを考えたいと思います。加奈ちゃん、温室効果はどういう効果か、もう一度言ってみてよ」

大場加奈子 「温室効果は、前に言ったけど… 大気中の二酸化炭素や水蒸気などの温室効果ガスが、地表から放出される赤外線を吸収して大気を温め、その温まった大気から放出される赤外線で地表が温まる効果のことだと思います」

織田真理 「温室効果というのは、地表から放出される赤外線を、大気中の温室効果ガスが吸収して温まることをいうのね。じゃあ、大気が温まるのは、温室効果だけかしら」

大場加奈子 「それは確か… 大気が温まる作用には、対流や潜熱もあると思います。でも、温まった大気が赤外線を放射して地表を温めているのは事実だと思いますよ」

織田真理 「加奈ちゃんは、ディーゼルエンジンというのを知ってるかな」

大場加奈子 「バスとかトラックのエンジンですよね」

織田真理 「正解! どんな特徴があるかも知ってるかな」

大場加奈子 「それと、温室効果とどんな関係があるんですか? 先輩、話を逸らさないでください」

本間悠斗 「大場さん、慌てないでゆっくり話を聞いてみようじゃないか。ディーゼルエンジンの特徴というと、空気を15~20以上の高い圧縮比で圧縮して、500~600℃の高温・高圧とし、その中へ燃料を噴射して自然発火させる形式のエンジンということかな。燃料は、軽油や重油などを使用するんだが、騒音や振動が大きいという欠点があるね」

織田真理 「先生、有り難うございます。加奈ちゃん、話を逸らすつもりはないの… 空気は圧縮されると温度が上がるという性質があるのは、ディーゼルエンジンを例に出すと解り易いと思ったんだけど…」

大場加奈子 「そうだったんですね。すみません。いきなり気象や気候と関係ない、バスやトラックのエンジンの話になったから、なんだか誤魔化されるような気がして焦っちゃいました(汗)」

織田真理 「ディーゼルエンジンは、空気を20分の1に圧縮して、600℃の高温にしているのよ。600℃を20で割ると30℃になるのを覚えておいてね。それから、加奈ちゃんは、山に登ると気温が下がるのは知ってるかな」

大場加奈子 「富士山の頂上には、夏でも雪があります。高いところは気温が低いのは当たり前です」

織田真理 「そうね。赤道付近にあるキリマンジャロ(5895m)は、山頂部に万年雪があるので有名だもんね。高いところに行くほど気温が下がるのはよく知られているけど、何メートルで何℃下がるか、加奈ちゃんは知ってる?」

大場加奈子 「何メートルで何℃下がるかなんて考えたこともないけど…」

本間悠斗 「織田さんは、よく勉強しているね。気象学の世界では常識なんだけど、高度と共に気温が変化する割合を『気温減率』と言うんだよ。対流圏では高度が100メートル増すごとにほぼ0.6℃の割合で気温が下がることが解っているんだ」

織田真理 「先生、有り難うございます。日本付近では、100メートルで0.5℃ずつ下がるという話もあるので、100メートルで0.5~0.6℃くらい気温が下がると考えればよいと思います。加奈ちゃん、対流圏の厚さは、どのくらいあるか知ってる?」

大場加奈子 「先輩は意地悪な質問ばかりするから困ります。ちょっと、辞書で調べてみますね… 極地方で約8km、赤道地方で約18km以下となっています。場所によってずいぶん違うみたいですけど…」

織田真理 「対流圏は、地表は太陽放射で温まり、上面では放射で冷却することによって、空気が対流している範囲のことを言うの。だから、地表の温度が低いところと高いところでは厚さが違ってくるのよ」

大場加奈子 「底の広い鍋をガスコンロに掛けてお湯を沸かすと、炎の上のところが盛り上がるのと同じですね。それと温室効果がどう関係するのでしょうか」

織田真理 「温室効果とは直接関係がないんだけれど、大気の厚さによって気温が上がる作用があることを言いたかったのよ。100メートルで0.5~0.6℃気温が変化するのは分かっているから、対流圏の厚さの平均が12kmくらいだとすると、(0.5~0.6℃/100m)×12000m÷2=30~36℃くらいは大気の厚みで昇温する計算になるのよ」

大場加奈子 「あっ、それで、ディーゼルエンジンの話のときに、20気圧に圧縮された空気が600℃になるのなら1気圧が30℃の割合になるのを覚えておいてと言ったんですね。確かに、地表の空気は上空の空気から圧縮されることによって30℃くらい昇温していると考えことも出来ますね。これと大気の温室効果がどういう関係になるのでしょうか」

織田真理 「温室効果と呼ばれるモノが、地表から放射される赤外線が、温室効果ガスに吸収されて大気が温まることを指すのだとしたら、大気の厚さによる昇温とはまったく別の原理によるものだというのは解るかしら?」

大場加奈子 「大気の厚みによる昇温は、大気の圧力しか関係がないから、温室効果とは独立したものだと思います。温室効果で33℃昇温し、大気の厚みで30℃くらい昇温したら… あれぇー、先輩、実際の地球の平均気温はそんなに高くありませんよ!」

織田真理 「問題はそこなのよ。太陽放射と地球のアルベド(反射能)だけで計算すると、地球の平均気温は-18℃になるのは間違ってないと、私だって思うの。それに、実際に観測された気温から推計される地球の平均気温が約15℃になるのも事実としたら、その差は33℃になるのも間違ってはいないけど、その差の内の30℃以上は大気の厚みによる昇温だということになるのよ」

大場加奈子 「それで先輩は、33℃の昇温のすべてが温室効果だとは限らないと言ったんですね。大気による昇温効果が33℃あるのは間違いないけど、その内の30℃以上は大気の厚みによる効果で、赤外線の吸収による効果は3℃以下だと考えるべきかも知れませんね」

織田真理 「加奈ちゃん、納得してくれて有り難う。一般に言われている、温室効果の強さが33℃というのは、実は大気全体が持つ昇温効果の強さを言っているのよ。温室効果ガスが赤外線を吸収することによる昇温効果はせいぜい3℃しかないというのが事実だと思うの。このことが世間で全く言われないのが不思議だけど…」

本間悠斗 「大場さん、織田さんの説明で温室効果と呼ばれるモノが、実際は意外に小さなモノだと解ったようだね。次は、温室効果と温暖化の関係がどうなるのかだけど、その辺りはまた今度、ゆっくり話すことにしよう」

大場加奈子 「そうですね。私も、もっと勉強してきます。先輩に負けないように頑張りますから、今後もよろしくお願いします」

織田真理 「まだまだ、加奈ちゃんには負けないわよ(笑)。先生、今日は有り難うございました」

(次回に続く)
―――――
 


 記事を読んで下されば、地球温暖化問題でいわれている『温室効果』が、意外に小さなものだということがわかると思います。

 実際は数℃の昇温効果しかないものを33℃も昇温するんだと誰が言い出したのか…

 素人でも、よく考えたらわかるようなインチキを、多くの科学者がなぜ黙って見ているのか…

 地球温暖化問題には、科学者の存在意義を疑わざるを得ないような根深いものが潜んでいると思えてなりません。

 時間があれば、第三回で、その辺りについて書こうと思っています。

 『本当に不都合な真実』とは何か、物語の落ちをどうするかが悩ましいのですが。。。

(by 心如)

・・・

米中日韓の貿易不均衡.jpg

 この図を見ると、米中間の貿易不均衡が、けた外れに大きいことがわかります。その貿易赤字を、対日貿易で埋めようなんて土台無理な話です。アメリカは、TPPで輸出を増やそうなんていう前に、対中貿易の内容を見直すべきだと、私は思います。

・・・

【参考リンク】
本当に不都合な真実(其の壱)
丸山茂徳氏、IPCCを告発…!? 「地球温暖化は間違っている」
地球温暖化の科学的コンセンサス…!?
山頂はなぜ涼しいか
 

気温減率.JPG

 


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TSUNE

心如さん

温室効果によって下層対流圏の気温は上がるが、成層圏の気温は下がると言われてますでしょう? 温室効果とは、心如さんが仰るところの大気の「気温減率」の勾配を変化させるように働くのです。

いわゆる「地球温暖化」の理論では、伝導や対流や潜熱による熱の移動を無視して(というか勝手に仮定して)大気の放射平衡が気温減率(温度勾配)を決めると考える。何よりも、雲量が1%変化するだけで気温はおよそ1℃変化するという、雲の生成によるアルベドの変化を無視している。
by TSUNE (2011-11-20 10:14) 

心如

TSUNEさん、コメントを頂きありがとうございます
 大気の気温減率は、温室効果ガスである水蒸気を含んだときのほうが小さくなります。
 乾燥断熱減率は、水蒸気を含まない空気塊が大気中を上昇する場合の温度低下の割合で、100メートルにつき約1℃です。
 それに対して、湿潤断熱減率は、水蒸気で飽和した空気塊が上昇するときの高さによる温度低下の割合で、日本付近では100メートルにつき約0.5℃と言われています。
 乾燥断熱減率より、湿潤断熱減率のほうが小さいのは、水蒸気が凝結する際に放出される潜熱が空気塊を加熱するためだと一般には言われています。
 水蒸気が増えると、それだけ上空に運ばれる熱量が増えるのです。地表の気温はその分だけ上がりにくくなると考えるのが妥当かもしれません。水蒸気の温室効果よりも、潜熱で奪われる熱量のほうが多いとしたら、水蒸気の増加は気温の上昇を緩和する負のフィードバックの面があると思います。
by 心如 (2011-11-20 13:06) 

心如

TSUNEさん
 大気の気温減率については、過去の記事で、『山頂はなぜ涼しいか』(http://xyzan.blog.so-net.ne.jp/2011-08-13)というのを書いています。
 ΔT/Δz=-M・g/Cpm が高度zが変化した場合の気温Tの変化率の式です。
(計算式の導出については、記事に資料が貼り付けてありますが…)
 この数式には、空気の平均分子量Mと、空気1モル当たりの定圧熱容量Cpm、重力加速度gなどは出てきますが、赤外線の放射や吸収に関わるようなパラメーターは出てきません。

 温室効果が、気温減率を変化させるというのはどういう意味かが、正直にいってよく解りませんが…
by 心如 (2011-11-20 15:39) 

TSUNE

心如さん

教えていただいた記事中の記述

「Cpは空気1モルあたりの定圧熱容量で、これはCv+Rに等しく、3.5Rと置くことができます」というところ。
3.5Rとなるのは、N2やO2など2原子分子の気体の場合で、CO2やH2Oなどの3原子分子の場合は、4.5Rになります。

ΔT/Δz=-M・g/Cp

CO2やH2Oの濃度が高くなると、Cpが大きくなります。
一方、分子量Mは、3原子分子の方が大きいので、CO2やH2Oの濃度が高くなると、やはり大きくなります。

N2 14/3.5 = 4
O2 32/3.5 = 9.14
H2O 18/4.5 = 4
CO2 44/4.5 = 9.77

なので、ΔT/Δzは、大気の組成によって変わると思います。
by TSUNE (2011-11-20 16:20) 

心如

TSUNEさん、お返事を頂き有り難うございます

 確かに、N2やO2をそっくりCO2に置き換えるのであれば、気温減率が大きく変化するかもしれません。
 しかし、CO2濃度が1000ppm程度増加しても、それほどの変化はないと私は思いますが、如何でしょうか?
by 心如 (2011-11-20 16:44) 

心如

空気の組成は、窒素78%、酸素21%、その他1%(アルゴン0.93%、二酸化炭素0.04%など)となっていると思います。
 水蒸気やアルゴンの量は変化しないと仮定して、酸素が0.1%減少し、二酸化炭素が0.1%(1000ppm)増加した場合で試算すると…
(14×0.78+32×0.21+44×0.0004)÷(3.5×0.78+3.5×0.21+4.5×0.0004)
=17.6576÷3.4668
=5.0933
(14×0.78+32×0.209+44×0.0014)÷(3.5×0.78+3.5×0.209+4.5×0.0014)
=17.6696÷3.4678
=5.0953
5.0953÷5.0933=1.000392673
 大気中の酸素が0.1%減少し、二酸化炭素が0.1%増加したと仮定して、気温減率は0.04%しか変化しません。
 大気の厚みで、30℃の昇温があると仮定すると、二酸化炭素が1000ppm増えても0.012℃くらいの変化しか生じない計算になるのですが…
by 心如 (2011-11-20 17:09) 

TSUNE

気体の状態方程式にもとづいた計算は、それで合ってると思います。大気は、この温度勾配で安定するわけで、この状態に向かって対流が生じると思います。

しかし、大気の放射平衡から求めた気温減率の変化は、もっと大きくなるのです。

参考までに
1967年に発表された、真鍋淑郎とRichard T. Wetheraldによる論文 ”Thermal Equilibrium of the Atmosphere with a Given Distribution of Relative Humidity"
http://journals.ametsoc.org/doi/pdf/10.1175/1520-0469%281967%29024%3C0241%3ATEOTAW%3E2.0.CO%3B2
これの250ページ
by TSUNE (2011-11-20 23:15) 

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