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断熱変化にともなう温度変化 [科学]

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 気体が断熱変化すると、圧縮で温度が上がり、膨張で温度が下がります。

 断熱変化による気体の体積と温度の関係は次の式になります。

 T=定数/V^(γー1)  〔γ=Cp/Cv〕
 
〔問〕 空気ではγ=1.4である。300Kの空気の体積を1/√32に断熱圧縮したら、温度はいくらになるか。

 体積Vが1/√32になるように断熱圧縮するのであれば、
 T=300K/(1/√32)^(1.4-1)となり、
 =300K/2^(-5÷2×0.4)=300K/2^(-1)=600Kという計算になります。

 300K(27℃)の空気を、体積Vが1/√32になるように断熱圧縮すると、空気の温度は600K(327℃)になるのです。

 同様に、273K(0℃)の空気を、体積が1/20になるように断熱圧縮すると、空気の温度は何度になるのでしょうか。
 T=273K/(1/20)^(1.4-1)=273K/0.05^0.4≒904.8K(631.8℃)という計算になります。

 過去記事:『本当に不都合な真実(其の弐)』で、ディーゼル・エンジンは、空気を15~20という高い圧縮比で圧縮し、500~600℃の高温・高圧とし、その中に燃料を噴射して自然発火させる形式のエンジンで、点火プラグが不要という話を紹介しました。
 理論から導かれる予測が、ディーゼル・エンジンで実際に観測される現象と、見事に一致しているのがお解り頂けると思います。

 『物理学』の著者である小出昭一郎氏の記述に、
>一般に物理学の基本法則は、多くの経験事実から帰納的に推測して求められるものであり、
>それが正しいかどうかは、
>それから導かれるいろいろな結論が事実と一致するかどうかによって
>確かめる以外に方法がないものである。
というのがあります。

 科学理論や法則の評価は、その理論や法則によって導かれた結果(予測)と事実(観測データ)が一致するかどうかがポイントになるのです。
 そういう意味では、断熱変化による気体の体積と温度の関係は、理論と事実がよく一致するケースだと私は思います。

(by 心如)

・・・

【おまけ】

◎達人
 一人の貴族が処刑されることになった。断頭台の前に出された男は言った。
「最後の望みを叶えて欲しい! 苦しみが少なくなるように、この国で一番の処刑人に執行をお願いしたい」
 男の望は叶えられた。最も腕がいいと有名な処刑人が呼ばれた。いよいよ覚悟を決めた貴族は首を台にもたげ、その瞬間がくるのを待った。待った。待った。さらに待った。しかし、なかなかその瞬間はやってこない。貴族はとうとう言った。
「どうせなら、早くやってください。いつまで待たせるのですか? こんなひどい時間はこれ以上耐えられません」
 それを聞いて、処刑人は言った。
「もう終わりましたよ。身体を揺すってみてください。首が落ちますから」

・・・

物理学

物理学

  • 作者: 小出 昭一郎
  • 出版社/メーカー: 裳華房
  • 発売日: 1997/11
  • メディア: 単行本


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コメント 2

旅爺さん

おはよう御座います。
     メリ~クリスマ~~ス ♪
by 旅爺さん (2011-12-25 08:30) 

心如

旅爺さん、コメントを頂き有り難うございます

 昨日から雪がちらついてますが、積もらず、ホワイトクリスマスには成りませんでした ^^;
by 心如 (2011-12-25 09:12) 

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