SSブログ

不安なのは当然ですが… [エネルギー]

――ふあん【不安】 ①安心のできないこと。気掛かりなさま。心配。不安心。「―な一夜を過ごす」 ②(Angst(ドイツ))実存主義哲学の重要概念の一。キルケゴールでは実存のもつ本質的矛盾に、ハイデッガーでは根源的無に根差し、両者とも特定の対象への恐怖とは異なる。〔広辞苑 第五版〕――

金剛石.jpg


 不安とは、安心できないことだというのは今更言うまでもないと思います。なにか良くないことが起きるのでないかと心配するのも不安の一つです。

 福島第一原子力発電所の事故によって、少なくない量の放射性物質が原子炉から放出されたのは周知の事実だと思います。政府や東電が、パニックを防ぐためなのかも知れませんが、放射性物質の放出・拡散に関する情報を速やかに公表しなかったのも事実のようです。

 これが、周辺住民の不安の種になっているのがいま現在の日本の現状ではないかと思います。なぜかと言うと、一般の国民にとって、放射線とか放射性物質というものがどんな物かなんてわかるはずがないのです。どんなものかよくわからないが、身体に良い物ではないのだろうという事は、パニックを恐れて政府や東電がすぐに公表しなかったという事実が示しています。不安になる第一の原因は、放射線や放射性物質がどんな物かよくわからないことにあるのです。

 不安になる第二の原因は、放射線や放射性物質が目に見えないことです。自分の周りにどれだけの量の放射性物質があるのかが目に見えません。また、放射線も目に見えませんから、自分が放射線に被曝したのかどうかが判らないのです。また、被曝したとしても、いったいどれだけの量の放射線に被曝したのかも分らないのです。身体によくないと思われる放射線を、どの程度被曝したのかが、本人にはわからないのだから不安になって当然なのです。

 不安の第三の原因は、放射線の被曝によって、何が起きるのかよく分らないことです。ある程度以上、大量に被曝すれば、急性症状が出ますから、放射線の被曝が原因で発症したという診断ができます。ところが、少ない量の被曝の場合、5年後とか10年後という長い時間が経過して、身体に何らかの異常が起きても、それが放射線の被曝によるものかどうかが判らない可能性があるのです。
 これは一般の人にとってはとても心配な話です。万が一、10年後にガンになった場合、これは原発事故のせいかどうかが判らないことを意味するのです。高額の医療費を負担する状況になった場合、原発事故が原因だと明らかなら、東電か政府にその補償を求めると思います。でも、自分が放射線にどのくらい被曝したのかすらわからないのです。どうやって原発事故がガンの原因だと証明できるのでしょうか? ガンになる可能性がどんなに低いと言われても、自分や家族がガンにならないという保証も無いのです。不安を抱えて暮らしている人が大勢いるのではないかと思います。
 その不安につけ込んで、放射線や放射性物質に対する効能を謳い、効果の怪しい健康食品を高い値段で販売する悪質な業者がいるそうです。そういう悪質商法の被害に遭わないように気を付けて欲しいと思います。
 これを食べたら(飲んだら)、体内に溜まった放射性物質を外に出す効果があるとか、放射線に被曝した影響を消す作用があるなどと謳った健康食品等はあまり信じないほうが良いのです。もし、そんな便利な物があれば、ノーベル賞が取れるのではないかと思います。

 こういう人の不安につけ込む悪質商法に、藁にも縋る思いで騙されてしまうのも、政府や東電が放射性物質の放出・拡散に関する情報を隠蔽し、住民に避難する機会を与えなかったことが原因なのです。パニックを防ぐためには止むを得なかったというのも、どこまで信じてよいのか…

 それならそれで、被曝した住民にどんな補償をするのかを明確にすべきだと思います。避難する機会を与えなかったのですから、万が一、5年後や10年後にガンになった時に、原発事故による被曝が原因だとは限らないなんてまさか言わないと思いますが… 最近の日本を見ていると、いざというときに国は当てにできない場合が多いので困ります。

(by 心如)


nice!(17)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 17

コメント 4

shira

 どこで見たのか忘れましたが最近読んだ話で、
 これまでの歴史で、本当に大きな災害やトラブルが発生したとき、実は市民は秩序を保って行動しており、パニックに陥った事はない。しかしそういう有事の際に、支配階層は市民がパニックに陥る事を極度に恐れ、結果自分たちがパニックに陥る、と。
by shira (2012-01-11 20:47) 

心如

shiraさん、コメントを頂き有り難うございます
 庶民にとって、守るべきものなんてたかが知れています。自分と家族の命さえ助かれば、あとはそれほど失って困るものなんて…
 それに比べて支配階層は、自分たちの財産を社会の混乱に乗じて奪われはしないかと不安になるのでしょうね。自分たちの財産さえ安泰なら、多くの国民が犠牲となっても気にならないとしたら… これもひとつの真実かも知れませんね。
by 心如 (2012-01-11 21:23) 

an-kazu

どこぞの会社では、緊急時の行動指針を守らずに、
エライ人が率先して歩いて帰宅しました(-_-;)

下々は予てからの取り決めどおり社内ににとどまり、
食料の確保や安否確認行動をとりつつ、
交通機関が回復してから帰宅しました。

上はアテにならないものですね┐(´д`)┌ヤレヤレ
by an-kazu (2012-01-14 09:23) 

心如

an-kazuさん、コメントを頂きありがとうございます
 エライ人は、自分はなにをしても許されると思っているのかな… 震災の翌日に、福島第一原子力発電所に視察に行った、我が国のトップだった人は最悪でしたし。。。
by 心如 (2012-01-14 09:51) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。