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どんなに高性能な計算機を使っても… [科学]

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http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2300G_T20C12A2X90000/
「京」の100倍速…次世代スパコン、日本に遅れ
政策・技術とも課題山積 米欧中は開発推進
2012/2/25 12:00

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 医療や防災などの最先端研究分野で、引っ張りだこになっている理化学研究所などの世界最速スーパーコンピューター「京」。計算機開発や利用に携わる世界の研究者の間では、その「京」より100倍以上速い次世代の「エクサコンピューター」の実現に関心が集まっている。しかし、日本の取り組みは遅れており、政策面でも技術面でも課題は山積している。

 「京」の実行演算性能は10ペタ(ペタは1000兆)フロップス(1秒当たりの浮動小数点演算回数)で、「ペタコン」と呼ばれる。エクサはペタの1000倍に相当する「100京」を意味する。エクサコンは1秒間に100京フロップスという驚異的な計算性能を持ち、2018~20年ごろの完成が見込まれている。

 エクサコンに必要な部品は、例えばメモリーだけをとっても数エクサバイト。昨年全世界で出荷された全パソコン約3億台に搭載したメモリー数に匹敵する。高品質のメモリーをかき集めるだけでもひと苦労だ。演算処理装置、主記憶装置、配線、消費電力、故障対策など気の遠くなるような開発要素がある。

 「米欧と中国はエクサというキーワードを明確に掲げた国家レベルのプロジェクトを具体的に示し、開発にまい進している」というのは、スパコン「TSUBAME」を開発した松岡聡・東京工業大学教授。日本ではエクサレベルの計算機のあり方を議論する委員会やプロジェクトはあるが、「エクサという目標は意図的には掲げられていない」(松岡教授)。

 「京」は09年の政府行政刷新会議の事業仕分けで開発予算がいったん凍結。昨年11月の「国会版」事業仕分けでは、スパコン事業予算の縮減が言い渡されるなど、国策としてスパコンをもり立てる機運がまるでない。だから関係者はエクサコンの開発に及び腰になっている。

 一方で米欧中は、国や地域の覇権を握るための最重要技術としてエクサコンを位置づけており、軍事関連を含めた複数の開発計画が走る。「京」は今年6月には米国製のペタコンに世界最速の座を譲ると見られており、このままだと日本はずっと外国の後じんを拝することになりそうだ。

 技術面でもブレークスルーが必要だ。例えば日本が得意とする気候分野のシミュレーション(模擬実験)。大気中の二酸化炭素濃度は増加の一途をたどっており、温室効果に起因する気温上昇が予測されていた。しかし21世紀に入ってから、気温はほぼ横ばいだ。予測はほとんど外れているといえる。

 シミュレーションがうまくいかない原因のひとつは、気候システムの理解が進んでいないこと。榎本浩之・国立極地研究所北極観測センター長は「特に極地には固有の物理メカニズムがある。それを方程式にしなければ、どんなに速いスパコンを使っても予測精度の向上は望めない」と言い切る。

 詳細なシミュレーションを目指すと、計算量が爆発的に増大するだけでなく、計算に組み込む要素も今のままでは不十分だ。高橋桂子・海洋研究開発機構プログラムディレクターは「風や雲、放射などのモデルをもっと精度の高い方程式に変えなければならない」と指摘する。

 東日本大震災以降、大地震や大津波の予測が期待されているが、実は気象分野よりさらに遅れている。古村孝志・東京大学地震研究所教授は「得られるデータ量が気象に比べて圧倒的に少ない。力仕事で計算しながら、よりよいモデルを試行錯誤で探している段階」と打ち明ける。

 このようにエクサコンを作り上げるにも使いこなすにも、難関が待ち受けている。研究資源の投入量は半端ではすまない。世界に伍して開発を進めるとすれば、その意義を国民に説明する必要がある。(池辺豊)

[日経産業新聞2012年2月24日付]
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 引用した記事を読むと、科学者のなかでも特にモデラーと呼ばれる人たちが、如何に出鱈目な人間なのか分かると思います。

 国立環境研究所の科学者たちは、「京」よりも計算能力の低いコンピューターによるシミュレーション(数値計算実験)で地球モデルを構築し、地球の気候変動の予測を行ってきました。それでも、何十億円、何百億円という国家予算を食い潰しているのです。しかし、その地球モデルによる気候変動の予測は外れていると言える状況なのです。

 でも、彼らは、自分たちの作った地球モデルが悪いのではない。もっと高性能な計算機があればより細やかな計算ができるので、精度の高い予測が可能なのだと言い出すことは火を見るより明らかです。彼らにとっては、国家予算を次々と食い潰し、自分たちの研究活動が続けられるかどうかだけが問題なのです。地球の未来がどうなるかなんて、本当のところはどうでも良いのだと言わざるを得ないのも事実のようです。

 しかし、どんなに高速に計算出来ようが、どんなに大量の情報を扱えようが、気候変動の仕組み自体がいま現在の科学ではよく解っていないのです。仕組みが解っていないのに、高精度な予測ができるはずはありません。詳しい仕組み(=計算方法)が解らなければ、いくら高性能な計算機を使っても、精度の高い計算なんて出来っこないことは、少し賢い子どもにだって分かると思います。算数しか解らない小学生に、高級な関数電卓を持たせても意味がないのです。

 これは、目的地が何処なのか、どの道を通れば目的地に行けるのかを知らない人に、どんなに高性能なクルマを与えても意味が無いのと同じです。

 でも、モデラー諸氏にとっては、目的とは無関係に、高性能な計算機を弄ること自体が喜びなのです。次々と高価な玩具を開発するだけの話ですから、国家予算がいくらあっても足りるはずがないのです。

(by 心如)

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shira

 この日経の記事には書かれていませんが、「京」は性能に対して消費エネルギーも大きく、機械全体も大きく重く、ライバルの海外のマシンに比べ明らかに後進的なのだそうです。これはひとえに「世界一」をゲットするため、ライバルの性能が上がるまえに慌てて既存の装置を継ぎ足したからだそうで、根本から設計の新しい海外のマシンにあっさり逆転されたのだそうです(朝日の記事より)。
by shira (2012-08-28 18:46) 

心如

shiraさん、コメントを頂きありがとうございます
 「京」は、消費電力が大きく、発熱量も膨大なので、今は旧式となったはずの水冷ユニットで発生する熱を冷やしているそうです。発熱量が大きいということは、消費電力が大きく、運用コストも高くつくことを意味します。
 高価な玩具を大きな運用コストで動かし、あまり意味の無い計算をさせているのが実態だと思うと、税金を返せと言いたくなります。
by 心如 (2012-08-28 20:16) 

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