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世論は幻想!? [雑感]

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 「世論と共に考える考えるような人は、
  全て自分で目かくしをし、
  自分の耳に栓をしているのだ」
 (ニーチェ/ドイツの哲学者)
 
「新聞を読まない人の方が、読んでいる人よりも正しく物事を認識できる。
 何も知らない人は、嘘、偽りに心を奪われている人より真実に近い」
(ジェファーソン/アメリカ大統領)
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 新聞やテレビで見聞きする世論を鵜呑みにしてはいけません。
 
 そんなことは、今更言われなくても分っていると思うかも知れませんが…
 
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『日本人の忘れもの』(会田雄次/PHP研究所)

 世論という幻想

 新聞というのは、日本の今日のマスコミの中でも最も影響力の強い媒体である。そしてマスコミが正しく機能して行くためには、新聞なら新聞という媒体を、新聞週間の標語的な側面で見る人と、同時にそれと正反対な考え方をする人とのバランスがとれることが不可欠である。
 ところが現在の日本の現状を考えると、新聞標語的な見方を否定する側面が極端に少なすぎる。かろうじて出版社系の週刊誌が皮肉をいったり、一部の学者が警告しているだけで、今日の日本人は大新聞の命ずる通り考え、指導する通り行動しているといってよろしい。バランスなど全然とれていないのである。
 そこで、ここでは新聞を読むにあたって、えげつないとも思われる「世論」反対の標語を取り上げてみた。
 日本では「世論がこういっているから、こうしなければいけない」とか「世論がそうだから正しい」というようなことばかりを言う人が多すぎる。こういう人は、実は自分の頭で真剣に思考していないといえる。
 世の中にはさまざまな出来事がある。
 この出来事というのは複雑であって、例えば人がただ集まって喧嘩しただけであっても、これを正確に描写しようとすれば、年齢、職業という簡単なことは別として、喧嘩をその原因、当人たちの関係、社会的地位など書き記すのに原稿用紙百枚、二百枚は最小限必要であろう。いわんや、複雑な世界情勢を知らせてくれるためには、途方もないほどの紙数がいるはずである。
 しかも新聞記事というのは、まず取材する人から整理する人など、数多くの人の主観というフィルターを通して、そのごく一部分だけが記事になって、ニュースとして出てくるのだ。そして社の方針として売れることが絶対であり、売るためには読者にうけるという基準が絶対のものとなっている。
 そうしたことに私たちが気づいていないと、新聞を読むことは何十人かの大変主観的なフィルターにかかった幻想を見ているのだという側面を忘れてしまう。その結果、これらの情報は、自分の眼で見、自分の耳で聞き、自分自身で考えるためには、あまりに不十分な材料であることに気づかないのだ。
 つまり、本来の情報というのは、自分の全身で目で耳で確かめねばならぬはずのものであるが、今の日本人はそれを、全て情報専門の立場で伝える電波で聞き、さらにそれを活字に直してみているにすぎないのである。
 世論というものも正にこんな手段によってつくり上げられるのだ。
 今の若い会社員の会話など、子どもの話、会社の話、上役の陰口など、全くの個人的な身上話を離れたら、プロ野球から中国情勢から政治の話、全て新聞の記事のおうむ返しでしかない。世論というものと共に考えることも必要だが、逆に新聞という世論、マスコミという世論をうのみにすることなく、自分自身で考えることはより重要なことなのである。
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日本人の忘れもの

日本人の忘れもの

  • 作者: 会田雄次
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 1977/08
  • メディア: 単行本
 

 新聞に書かれた記事やテレビで流されるニュースは、物事のごく一面を伝えているに過ぎません。
 
 内閣支持率ひとつにしても、アンケートをとる側の質問のやりかた次第で、結果に大きな隔たりが出るかも知れません。
 
 新聞に書かれたことやテレビで流されるニュースは、数多ある出来事の中のほんの一部の、さらに表面的な情報でしかないのです。
 
 子どもが苛めを苦に自殺するという事件が起きると、苛めた子どもをバッシングし、苛めを見逃した教師をバッシングし、不始末を隠そうとした教育委員会をバッシングし、教育制度改革を怠った文科省をバッシングするのがマスコミです。
 でも、子どもという生き物は、ふざけたり喧嘩したり苛めたり苛められたりして泣いたり怒ったりしながら成長するのです。クラスのみんなが仲良く、いつも笑いが絶えないなんて幻想でしかありません。
 そもそも、一所懸命に勉強すれば誰でも頭がよくなるというのが幻想なのですが…
 
 そういう幻想を鵜呑みにしないで、自分の頭で考えることが大切です。
 
 苛め問題であれば、子どもを守るのは親の務めです。学校に預けておけば大丈夫だと考えることがすでに幻想なのかも知れません。
 
(by 心如)

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 2012年は、15年ぶりに自殺者が3万人を下回ったとのことです。健康問題、経済問題を理由に自殺する人が減ったので、日本経済が立ち直りつつある証だという報道がありましたが、それはどうかなと思います。先進国の中で日本は人口当たりの自殺者が異常に多かったのです。やっと少し落ち着いてきただけの話であって、日本経済の立ち直りを示すというのは、新政権に対するゴマすりでしかないと私は思いますが…  

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コメント 4

shira

 お、一番乗り。
 自殺者が減ったのは、NPOやボランティアや地方自治体の現場担当者が1件1件丁寧に対応したからですよ。生存権を守るために日々地道に活動するそういう人たちはここ数年増えていますから。ブン屋さんはどうしても大所高所に要因を求めたがって、現場の地道な活動を対象化するのは苦手なようです。
by shira (2013-01-19 21:00) 

心如

shiraさん、コメントを頂きありがとうございます
 自殺者がなぜ減ったのか、そんなことにこれといった明確な原因があるとは思えません。自殺者ひとりひとりには死にたいと思う理由があると思います。その理由は人によって違うと思うのです。
 本当に死にたいと思う人が、NPOやボランティアに相談するでしょうか。地方自治体の担当者に自分の置かれた状況を説明したいと考えるでしょうか。そんなことが出来る気力が残っていれば自殺なんてしないかも知れません。
 どちらにしても、新聞の記事やテレビのニュースは誰かの主観による都合の良い事を言っているに過ぎないのは事実のようです。
by 心如 (2013-01-19 22:13) 

figaro

昨年の大晦日、兄と私の2人で母に「TVや新聞を信用してはいけない」と
説教大会をしました。大晦日にする事でもないけど、兄が帰省する機会は
年に一度だけなもんで^^;
自殺者が減ったといっても、日本経済の立ち直りとは言えないですよね。
3万人を下回ったとしてもまだ十分多いし・・・。
by figaro (2013-01-19 22:53) 

心如

figaroさん、コメントを頂きありがとうございます
 昨年の自殺者が3万人を下回ったというのは事実だと思います。でも、その原因が何かというのを議論すること自体に意味があるのかどうかもよく分りません。
 2011年の東日本大震災の被害状況を見て、あれに比べたら、自分はまだ増しだと考えて自殺を思いとどまった人だっているかも知れません。自殺者が減るのはよいことであるのは間違いないけど、なにが効果があったかを争うよりも、さらに減らすにはどうするかを考えるほうが大切だと言いたいですね。
by 心如 (2013-01-20 22:15) 

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