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おたふくかぜと水ぼうそうは、同時感染しない…!? [科学]

『科学・考えもしなかった 41の素朴な疑問』(松森靖夫 編著/講談社 BLUE BACKS)を読んでいたら、こういう項目がありました。


 おたふくかぜと水ぼうそうには、なぜ同時にかからないの?

「いま子どもが通っている小学校で、おたふくかぜと水ぼうそうが両方はやっているらしいんだよ」
「うわっ! そりゃたいへんだね」
「でも不思議なのは、両方に同時にかかる子どもはいないみたいなんだ」
「たしかにそういう話は聞いたことがないね。どうしてなんだろうね?」

 おたふくかぜも水ぼうそうも、子どもがかかる病気としてはとてもポピュラーなものです。保育園や小学校では、「いま、おたふくかぜがはやっています」とか、「いま、水ぼうそうがはやっています」という情報が、まめに発信されます。そして、それらは時として、「同時に」発信されることもあります。
 しかし、思い出してみてください。いくら二つの病気が同時にはやっていたとしても、おたふくのように腫れあがった顔に赤い発疹が出た友だちを見たことがあったでしょうか? なぜ、この二つの病気に、同時にかかることはないのでしょうか?

 ■免疫というしくみ

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も水ぼうそう(水痘)も、かかってもやがては治り、一度かかれば二度とかかることはないといわれています。これは、侵入した病原体と戦う免疫というしくみが、私たちの身体に備わっているためです。
 おたふくかぜと水ぼうそうに同時にかからない理由を考えるために、まずは、おたふくかぜに感染したとき、私たちの体の免疫というしくみがどのように反応するかを見てみましょう。
 病原体にのどや気管の粘膜が感染して増殖を始めると、免疫に関連する二つのシステムが立ち上がります。一つは獲得免疫系というシステム、もう一つは自然免疫系というシステムです。
 獲得免疫系は、抗体をつくって病原体を撃退するとともに、一度かかった病気に二度とかからないよう、二回目以降の病原体の侵入を効率よく阻止するシステムです。まず、病原体に感染すると免疫細胞が活性化され、その指令にしたがい、病原体に対する抗体がつくられます。この抗体が病原体と結びつくと、病原体は無毒化され、排除されます。このあと、抗体をつくるように指令を出した免疫細胞は、抗体の情報を長く保持し、二回目の感染のときには速やかに大量の抗体をつくり、即座に病原体を撃退します。
 一方、自然免疫系は、侵入した病原体に対して、さまざまな免疫細胞が襲いかかり、撃退するシステムです。獲得免疫系が、どちらかというと二回目以降の感染時に威力を発揮するのに対し、自然免疫系は、最初の感染からフルパワーで機能します。
 この二つの免疫システムは、体の中で互いに協調してはたらいています。

 ■同時にかからない理由

 おたふくかぜと水ぼうそうに同時にかかることがない理由は、自然免疫系のはたらきに理由があります。ここはたとえ話で説明しましょう。
 おたふくかぜの部隊が、海岸から上陸する光景を想像してください。海岸が私たちの体です。通常、海岸には、パラパラと警備の兵士がいます。これが免疫細胞です。おたふくかぜが上陸すると、それらの兵士が寄ってきて上陸を阻止しようとします。そのうち、兵士たちの間におたふくかぜ上陸の情報が伝わり、海岸は、援軍の兵士たちで埋め尽くされ、臨戦態勢となります。自然免疫系が活性化されたのです。はたして、そこに水ぼうそうの部隊が上陸可能でしょうか?
 おたふくかぜに限らず、ある病原体に感染したことによって自然免疫系が高レベルに活性化されると、あとから別の病原体に感染することが難しくなるのです。これが、おたふくかぜと水ぼうそうに同時にかからない理由です。
 ただし、活性化の程度や病原体の潜伏期間の問題があるので、「必ず」と言い切れるわけではありません。小児科のお医者さんのなかには、四十年間で五例ほど、おたふくかぜ、水ぼうそう、はしかなどのうち二つに同時にかかった子供を診たことがあるという人もいます。しかし一般には、ある病気に感染すると、同時に別の病気には感染しにくくなります。

〔取材協力/斎藤博久 国立成育医療センター研究所・免疫アレルギー研究部部長〕
 ==========(引用終り)==========

 昨年から今年にかけての、新型インフルエンザ騒ぎも収まったようです。
 あの騒ぎは何だったのかと少し不思議な気がします。お陰さまで、我が家では、妻も私も、新型インフルエンザにも、季節性のインフルエンザにも罹りませんでした。年末・年始にかけて風邪のような症状が少しだけありました。しかし、病院に行くほどでもなく、安静にしていたら治ってしまったという感じです。
 もちろん、妻も私も、インフルエンザの予防接種なんて、もう何年も受けていません。でも、普通の風邪をひいているうちに、新型インフルエンザの流行に乗り遅れてしまったようです。

インフルエンザ 20100330.jpg
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html

 2009年の40週目くらいから患者数が増加し、年末には落ち着き始め、2010年2月以降は、インフルエンザの流行は終息した感があります。
 

インフルエンザ ウイルス分離検出.jpg
http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/reffig1.gif

 興味深いのはこちらのグラフです。2009年の第24週目くらい以降、新型インフルエンザが流行を始めると、従来の季節性インフルエンザ・ウイルスが全く分離・検出されていないようです。これは、新型インフルエンザ・ウイルスの流行によって、従来の季節性インフルエンザ・ウイルスが駆逐されたような状態になっていることを示しています。

 新型インフルエンザ・ウイルスのワクチンばかり用意すると、季節性のインフルエンザが流行するかも知れないという話は何だったのでしょうか?
 また、新型インフルエンザ・ウイルスのワクチン接種には、本当に効果があったのでしょうか?

 どちらにしても、ある感染症が大流行すると、同時に他の感染症は流行しない、という話の裏付けとなるデータだと思いますが…

(by 小父蔵)

 

 【気になる話題】
▼これを読むと、国民新党よお前もか… とても暗い気持ちになりますが…
ある郵便局員からの手紙と全国郵便局長会
▼鳩山総理の能天気さにあきれ果て…
普天間問題・この「◯×」を見よ!!
トップ・リーダーの休日

 

科学・考えもしなかった41の素朴な疑問 (ブルーバックス)

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  • 作者: 松森 靖夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/09/19
  • メディア: 新書



 
 【おまけ】 お昼寝を邪魔されて、ご機嫌斜めのニャンコ
DSC03617s.jpg

 ▼紅白をそろえて植えているのは、お洒落ですね^^
DSC_0124m.jpg

 ▼名前は知りませんが、可愛いなと思います^^
DSC_0122m.jpg


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コメント 12

mamire

そうそう、そんな話を聞いたことがあります。
新型インフルが流行していた時に、孫は移らなかったのです。
ちょうど、リンパが腫れて、何やらのウイルスに感染したいたからなんですって。
体の仕組みって本当によくできているのですね。
by mamire (2010-03-30 14:42) 

父ちゃん

お見舞いのコメントありがとうございますm(__)m
そういう関係があるんですね^_^;
うちの息子さんは、喘息性気管支炎(ウィルス性!?)
そして、中耳炎(細菌性!?)を同時に発症(>_<)
ウィルスと細菌の同時はあるんですよね(>_<)
やっかいだ^_^;
強いからだを作ってもらわないとなぁ~(>_<)
by 父ちゃん (2010-03-30 22:09) 

nyankome

なるほど!
インフルエンザもいろいろな型が流行すると厄介ですが、そうならないのですね。
by nyankome (2010-03-30 23:17) 

大将

なるほどですねぇ
本当に生き物の身体は面白い!
偶然と進化が生み出した技ですね
by 大将 (2010-03-31 00:08) 

penny

年末、おかげさまでタミフルは効きましたが、このところのインフルエンザに対する過剰なまでの反応。何やら薬屋さんが儲かるシステムな気がしてなりません。転ばぬ先の…ってヤツなんですかね。
by penny (2010-03-31 01:41) 

enosan

勉強になりました。
新型インフルエンザのワクチン、沢山輸入して国産品だけも使わなかったそうですね。残りはすべて廃棄だとか。借金だらけの日本がねー。
もちろん私も注射はしなかった。
by enosan (2010-03-31 09:00) 

小父蔵

mamireさん  コメント 有り難うございます
 人間の身体や生命のことに関しては、まだまだ不思議なことが沢山あるようですね^^
by 小父蔵 (2010-04-01 21:52) 

小父蔵

父ちゃんさん  コメント 有り難うございます
 普通の状態でウイルスなどに感染した場合と、なんらかの理由で体力が落ちて、免疫力が低下している場合では、話が別のようです。基礎となる体力が落ちている場合は、免疫力が働かないので、同時に複数の病気に罹る可能性が高いので要注意です。院内感染にも注意しましょう。
by 小父蔵 (2010-04-01 22:01) 

小父蔵

nyankomeさん  コメント 有り難うございます
 昨年の夏ごろは、新型と季節性の両方が流行するような話もあったと記憶しています。ところが、データを見る限りでは、従来の季節性のインフルエンザは駆逐されているように思います。
 確かな原因は、医学の専門家でもはっきりしないかも知れません。
by 小父蔵 (2010-04-02 21:13) 

小父蔵

大将さん  コメント 有り難うございます
 生命の仕組みには、まだまだ不明な部分が沢山あるようですね。遺伝子だけ調べて全てが分かったと思ったら間違いのようです。
by 小父蔵 (2010-04-02 21:17) 

小父蔵

pennyさん  コメント 有り難うございます
 インフルエンザ・ウイルスが、自然界で強毒性に変化する危険性よりも、どこかの研究室でバイオエラーを引き起こす確率のほうがはるかに高いと私は思います。
 悪意の研究者が、感染力の強いウイルスを強毒性に変異させて放出したら、一人で人類を滅ぼすことも難しくないと思います。新薬研究を目的とする、インフルエンザ・ウイルスに対する遺伝子操作は、いつか事故を起こしそうな気がして怖いのですが…
by 小父蔵 (2010-04-02 21:26) 

小父蔵

enosanさん  コメント 有り難うございます
 慌ててワクチンを沢山用意したようですね。しかし、原理的に考えて、インフルエンザの流行をワクチンで本当に防げるのかどうかは疑問です。
 また、例年の季節性インフルエンザに比べて、新型インフルエンザの患者数が何倍も多くならなかった理由も良く分かりません。本当に新型と呼ぶのが相応しいものなのかという疑問も湧いてきます。
 「馬鹿は風邪をひかない」と言います。精々、馬鹿なことを言いながら、楽しく暮らせたら良いなと思っていますが…
by 小父蔵 (2010-04-02 21:36) 

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