温室効果の主役は水蒸気なのですが…!? [気候変動]
前の記事で、手持ちの電子辞書に、いわゆる「温室効果」と呼ばれる大気の作用が、下記のように説明されていると書きました。
―――――
おんしつこうか【温室効果】
太陽放射は大気にあまり吸収されずに地表面に達するが、地表面からの長波放射(赤外放射)は大気中の水蒸気、二酸化炭素により吸収される。大気のこのような作用は大気や地表面の放射冷却を和らげる効果があり、温室のガラスの作用に相当するため、温室効果と呼ばれる。大気の温室効果のため、地表面温度は約33℃昇温。大量に使用される化石燃料のため大気中の二酸化炭素の量が増加し、温室効果が増大して地球の平均気温が上昇する傾向(地球温暖化)にある。砂漠の増大や海面上昇などの可能性があり、対策が国連環境会議で検討されている。なお、二酸化炭素、水蒸気のほか温室効果をもつメタン、一酸化二窒素、フロン、オゾンなどを含めて温室効果気体という。
〔百科事典 マイペディア 電子辞書版〕
―――――
そして、「さらっと読むと、何もおかしな点はありません。巷で言われている温室効果の理解とほぼ同じではないかと思います」とも書かせていただきました。
長いお付き合いをいただいている人の中には、「あれ、今日はやけに素直に同意しているな… いつものへそ曲がりはどうしたのかな?」と、感じられた方もいらっしゃると思います。そうです。この説明で、私が納得しているわけではないのです。
この説明をよく読むと、おかしな部分があるのも事実だと思います。どこがおかしいと思うのかが問題ですが…
第一に、「太陽放射は大気にあまり吸収されずに地表面に達するが」とあります。太陽放射342w/m^2に対し、大気に吸収される部分は67w/m^2です。これは、太陽放射全体の19.6%になります。太陽放射の約30%は雲や地表で反射さています。吸収される70%のうちの19.6%が大気に吸収されているのです。これは、反射される約30%を除き、地球が受け取る太陽放射の約70%だけで計算すれば、その28%は直接、大気が吸収していることを意味します。
まず、「太陽放射は大気にあまり吸収されずに地面に達する」というのが怪しいと考えざるを得ません。地表に届く前に、約三割は大気が吸収しているのですから。
第二に、「地表面からの長波放射(赤外放射)は大気中の水蒸気、二酸化炭素により吸収される。大気のこのような作用は大気や地表面の放射冷却を和らげる効果があり、温室のガラスの作用に相当するため、温室効果と呼ばれる」とあります。しかし、温室のガラスが赤外放射を吸収するから温室が温まるのではないことは、前々の記事と、前の記事でくり返し説明しました。
大気に含まれる水蒸気や二酸化炭素などが、地表面からの赤外放射をある程度、吸収することは事実です。しかし、地表面と接触した空気が対流により温められたり、海面や植物から放出される水蒸気の潜熱によって空気が温められている割合のほうが大きいのも事実です。
赤外放射による地表から大気へ移動する熱量は、26w/m^2にすぎません。対流24w/m^2、潜熱78w/m^2と比べてみると、それほど大きな値ではないのです。
大気を温めているのは、潜熱の78w/m^2が一番大きいのです。二番目に大きいのは、太陽放射を直接、大気が吸収する67w/m^2です。三番目に大きなのが、地表面からの赤外放射を大気が吸収する26w/m^2です。最後が、対流による24w/m^2なのです。
大気からみると、受け取る全熱量195w/m^2に占める地表からの赤外放射の熱量26w/m^2は、約13.3%にすぎないのです。
そして、さらに、地表面からの赤外放射を吸収しているのは、大気中の水蒸気が大きな割合を占めているのです。大気中の二酸化炭素は水蒸気に比べると、せいぜい10~20%程度の赤外放射を吸収しているにすぎないのです(5%にすぎないという説もありますが…)。
つまり、大気中の二酸化炭素が吸収する熱量は、大気が受け取る全熱量のせいぜい1.3%から2.6%にすぎないことを意味します。
もともと、大気中の二酸化炭素が受け取る熱量は、この程度の割合しか占めていなのです。大気中の二酸化炭素濃度が、0.03%から0.04%に増えたといっても、水蒸気の量に比べたら微々たるものなのです。
湿度の高い夏場は、二酸化炭素濃度が増加してもほとんど影響はないと思われます。湿度の低い冬場は少し影響が出るかもしれませんが、普通の温度計(誤差±0.2℃)で計測したら、その違いはほとんど分からない程度かもしれません。
大気中の二酸化炭素濃度が増加すれば、気候が温暖化するというのは定性的には間違っていません。問題なのは、何ppm増加すると平均気温が何℃上昇するのかという、定量的な議論がいまのところ出来ないことです。
ただし、過去の地球には、いまより大気中の二酸化炭素濃度が10倍くらい高かった時代もあるのです。その時は、いまよりも温暖な気候であったかもしれませんが、決して灼熱地獄ではなかったのです。北極圏に変温動物のワニが生息していたという話もあります。植物が生い茂り、さまざまな動物が繁栄していた時代だったのです。
たとえ、大気中の二酸化炭素濃度が、二倍ないし三倍になったからといって、生物が全滅し、地球が死の星になるなんてことはあり得ないのです。
(by 心如)
・・・
【おまけ】
◎エス氏とエル氏
エス氏とエル氏という二人の友人がレストランで夕食をとった。二人とも仔牛のカツレツを注文した。しかし、運ばれてきたカツレツを見ると、明らかに一枚が大きくてもう一枚が小さかった。エル氏が言った。
「どうぞ、お好きな方を取ってください」
エス氏も言う。
「いえいえ、そちらこそお先にどうぞ」
二人はしばらく譲り合っていたが、結局、エル氏が先に取ることになり、大きな方を自分の皿に運んだ。エス氏は残された小さな方を食べた。
その後二人は食事を終えたが、エス氏はどうにも納得がいかないので口を開いた。
「しかしねエルさん、私がもし先に取るとしたら小さな方を取ったと思いますがね…」
エル氏はしばらく考えていたが、やがて言った。
「ではなぜ文句を言うのですか。あなたは望み通り小さな方を食べられたじゃないですか?」
・・・
〔地球温暖化、気候変動、温暖化詐欺〕
地球にとって
そう言う前に人にとってというのが大前提なのが
人間の科学や哲学ですからね
by 大将 (2011-11-10 07:54)
大将さん、コメント 有り難うございます
たしかに、科学や哲学は人間にとってこそ意味のあるものです。しかし、地球や宇宙にとっては、人間の科学や哲学なんて何の意味もありません。百数十万年前に人類が出現する遥か以前から宇宙や地球は存在していました。また、何十万年か後で人類が滅んでも、宇宙や地球は人類と無関係に存在し続けると思います。
いかなる科学理論も、人の頭の中にだけ存在しており、いかなる現実性も持っていないのです。この科学理論の本質を本当の意味で理解できている人は、科学者の中にもあまりいないのですが…
by 心如 (2011-11-10 19:55)